5.2.3.2 2物体の反発係数

直線上の2物体の衝突の反発係数

前項は物体と壁(床)との反発係数について考えましたが、本項では直線上を運動する2つの物体についての反発係数を考えます。

ある物体とある物体が相対速度 10 m/s で衝突し、6 m/s の相対速度向きは始めの相対速度と逆向きとします。閉じるになったとき、

今度は 5 m/s の相対速度で衝突すると、相対速度は 3 m/s になりますこれも始めの向きと逆向きです。閉じる。20 m/s の相対速度で衝突すれば、12 m/s です。

この2つの物体の組合せのときは相対速度の変化が 10 : 6 の比率になるということです。この比率を反発係数(はねかえり係数)といいます。それぞれの物体の組合せに特有の数値です。

反発係数を e 、衝突前のそれぞれの物体の速度を v1v2 、衝突後のそれぞれの物体の速度を v1' 、v2' とすると次のように表せます(v1v2v1' 、v2' は正の値だけでなく負の値もとるものとする)。

2物体の反発係数

e =

この式は e =  と変形できますし、 e =  とも変形できます。

上で示した2物体の例では反発係数は e = = = 0.6 です。

前項の物体と壁との反発係数の式は上式において v2v2' が 0 の場合といえます。

ここまで説明してきた衝突は外力がはたらいてない場合の話ですので運動量保存の法則が成り立っています。

e = 1

前項と同様、e = 1 となる衝突を弾性衝突(完全弾性衝突)といいます。最も良くはねかえる衝突です。

このときの衝突後の速度 v1' 、v2' を求めてみます。

2つの物体を、質量 m1 の物体A 、質量 m2 の物体B とし、衝突前における物体B から見た物体A の相対速度 v1 - v2 の方向は物体B の方を向いている(要するに必ず衝突する)ものとします。

まず e = 1 だから

    1 =

  ⇒ v1 - v2 = - ( v1' - v2' )

  ⇒ v1' - v2' = v2 - v1  …… ①

運動量保存の法則が成り立っているから

    m1v1 + m2v2 = m1v1' + m2v2'  …… ②

①式を②式に代入して v2' を消去して v1' を求めます。

    m1v1 + m2v2 = m1v1' + m2 ( v1' - v2 + v1 )

  ⇒ (m1 - m2) v1 + 2m2v2 = (m1 + m2) v1'

  ⇒ v1' =   …… ③

①式を②式に代入して v1' を消去して v2' を求めます。

    m1v1 + m2v2 = m1 ( v2' + v2 - v1 ) + m2v2'

  ⇒ (m2 - m1) v2 + 2m1v1 = (m1 + m2) v2'

  ⇒ v2' =   …… ④

この③式、④式を解釈してみます。

m1m2

e = 1 で物体A の質量が物体B の質量より非常に大きい(m1m2)とき

 ③→ v1' = = v1

 ④→ v2' = = - v2 + 2v1

物体A がとても重くて物体B がとても軽いとき、衝突しても物体A の速度はあまり変わらない( v1' ≒ v1 )というのは想像しやすいですが、このときの衝突後の物体B の速度( v2' ≒ - v2 + 2v1 )は想像するのがちょっと難しいです。

よく考えてみますと、衝突前の物体B の速度は小さい方が(できれば負の方向で絶対値が大きい方が、つまり猛烈なスピードで物体A に向かっていく方が)、衝突後の物体B の速度は大きくなるとわかります。そして、物体A の速度の2倍分だけ増加します。これは物体A の質量がいくら大きくなっても最大で2倍分です。

この m1m2 の場合の考え方は、惑星探査機を加速させるためのスイングバイという技術に応用されています。

m1 = m2

e = 1 で物体A の質量と物体B の質量が等しい( m1 = m2 )とき

 ③→ v1' = = = = v2

 ④→ v2' = = = = v1

これは、物体A の速度が物体B の速度になって、物体B の速度が物体A の速度になるということです。つまり e = 1 で質量が等しいときは衝突によって速度が交換されるということです。

この現象はカチカチボール(ニュートンのゆりかご)という装置でよく実演されます。

0 ≦ e < 1

前項と同様、0 ≦ e < 1 となる衝突を非弾性衝突といいます。現実世界ではこの衝突が一般的です。

e = 0

前項と同様、非弾性衝突のうち e = 0 となる衝突を完全非弾性衝突といいます。この衝突は物体が合体するということです。

このときの衝突後の速度を求めてみます。

e = 0 だから

    0 =

  ⇒ v1' = v2'  …… ⑤

運動量保存の法則が成り立っているから

    m1v1 + m2v2 = m1v1' + m2v2'  …… ②

⑤式を②式に代入して v2' を消去して v1' を求めます。

    m1v1 + m2v2 = m1v1' + m2v1'

  ⇒ m1v1 + m2v2 = ( m1 + m2 ) v1'

  ⇒ v1' =   …… ⑥

e = 0 のとき、物体A と物体B は衝突すると合体し、上記の速度になるということです。( 重心の位置の式、数学の内分点の公式にそっくりであり、5.2.2.3 重心の運動で説明した「運動量保存の法則が成り立つような場合は物体系の重心の速度も保存される」ことを表しているといえます。)

m1m2

e = 0 で物体A の質量が物体B の質量より非常に大きい(m1m2)とき

 ⑥→ v1' = = v1

合体しても物体A の速度のままということです。

m1 = m2

e = 0 で物体A の質量と物体B の質量が等しい( m1 = m2 )とき

 ⑥→ v1' = = =

となり、合体後の速度は物体A と物体B の速度の平均となることがわかります。さらに、v1 = - v2 (向い合って等速で衝突して合体)のとき v1' = 0 つまり静止し、v2 = 0 のときは 合体後の速度は v1 の半分となることがわかります。( 5.2.2.2 物体の分裂 物体の結合 質量が同じとき 参照。)