静電遮蔽

静電遮蔽

中空の導体

帯電している導体では、電荷はたとえば左図のように分布しています。『電場の中の導体、あるいは帯電した導体の性質』で説明したように、電荷は導体表面に分布し、導体内部の電場は 0 です。等電位です。

導体を変形させると左図のように分布します。電荷はあくまでも表面に分布します。凹部には存在しません。導体内部の電場は 0 です。

さらに変形させていくと、、、

左図のように分布します。

(イラストでは2次元になってしまいますが、3次元であるものとして考えてください。ゆで玉子の白身の部分を想像してください。)

導体内側表面(青の部分)には電荷は存在しません。

たとえ凸状の部分があったとしても電荷は存在しません。電荷同士の押し合いへし合いで導体外側に必ず押しやられます。導体内側表面には電荷は存在できません。

このことは、中空部分も電場は 0 ということを意味します。等電位です。


電場の中の中空導体

電場中に(帯電してない)中空導体を置くと、静電誘導によって左図のように電荷が分布します。

このとき電荷は導体外側表面にのみ存在します。導体本体の電場は 0 です。

そしてこのとき、中空部分の電場も 0 です。等電位です。電気力線もありません。このように導体の中空部分が外部の電場の影響を受けないことを静電遮蔽(せいでんしゃへい)といいます。


帯電体をくるむ中空導体

正に帯電した物体 を中空導体でくるむと、中空導体の内側表面に負電荷が、外側表面に正電荷が分布します。

電気力線を描くと左図のようになります。このときもなお、導体内の電場は 0 という原則は生きています。中空導体の内側面の負電荷と外側面の正電荷の間に電気力線は存在しません。
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この電気力線は中空導体が無い場合と同等です。

しかし中空導体を接地すると様子が変わります。接地したときの導体の電位は通常 0 V と定めます。
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外側の正電荷が地球に逃げていき、中空導体外側の電気力線は無くなります。

内側面の負電荷たちは、中央の正の帯電体 と引きつけ合っているので動きません。

接地することによって中空部分に存在する帯電体の影響が外部に及ばなくなります。このこともまた静電遮蔽といいます。

ここまでの話は電荷の正負が逆転しても一緒です。

「外から中へ」と「中から外へ」の違い

外の電場を中へ届かないように遮蔽するためには接地は必要ありませんが、中の電場を外へ届かないように遮蔽するためには接地が必要です。

静電遮蔽の例

  • 電子レンジの中に携帯電話を入れると電波が届きません。電子レンジは電磁波を発生させて食物の水分子を振動させて熱を発生させる装置ですが、電磁波が外に漏れないように導体で覆われています。電子レンジの扉のガラス面をよく見ると金網(導体)が埋め込まれており、遮蔽されていることが分かります。
  • 同じように冷蔵庫も導体(鉄板)で囲まれてるので携帯の電波は届かない、と思います。
  • 洗濯機も鉄板で覆われていると思いますが、扉の部分だけプラスチックでできていると思うので携帯の電波はかろうじて届くと思います。
  • 車の中や電車の中で携帯の電波やラジオの電波が届きにくいのは、車体が鉄板でできているからです。
  • 木造の家の中よりコンクリート製の家の中の方が電波が届きにくいのは、コンクリートの中に鉄筋が埋め込まれているからです。同じように木製のドアの近くより鉄製のドアの近くの方が電波が届きにくいです。
  • テレビのアンテナケーブルの皮をむくと、金網状のものが巻かれているのが見えます。外部の電場によって信号ケーブルに静電誘導が起こってしまうのを防ぐためです。
  • 箔検電器を金網で囲って、その外から帯電体を近づけても、箔は開閉しません。静電遮蔽によって静電誘導が起こらなくなるからです。