弾性力

弾性力

反作用の力

ばねを伸ばそうとすると、縮めようとする力がはたらきます。縮めようとすると伸ばそうとする力がはたらきます。この、元に戻ろうとする力を弾性力といいます。作用・反作用の法則にのっとった反作用の力です。

復元力という言葉もあります。ほぼ同じ意味です。

それぞれの言葉の厳密な定義はちょっとわからないのですが、
・分子間力に基づく力ばねの力のおおもとは分子間力です。分子間力のおおもとは電磁気力です。閉じるの場合は弾性力、復元力、どちらも用いられ
・万有引力に基づく力の場合は復元力のみを用いる
ような気がします。

張力

ピンと張ったロープや紐を引っ張ったときに、引きちぎられないように踏ん張る力を張力といいます。この張力も、(伸びが観測できないほど小さい場合の)弾性力、とみなすことができます。

ピンと張ったロープをたとえば1万個の微小部分に分割したとします。左から1番目、2番目、…1万番目とし、一番右側にある1万番の微小部分を右向きに、たとえば 2.3N の力で引っ張ったとします。すると1万番は反作用の力として左向きに 2.3N で引っ張り返します。と同時に9999番を右向きに 2.3N で引っ張ります。すると9999番は1万番を左向きに 2.3N で引っ張り、9998番を右向きに 2.3N で引っ張り、…、という風に数珠つなぎとなって 2.3N の力がロープのあらゆる箇所に染み渡ります。

一番左に位置する1番の微小部分は、壁を 2.3N で引っ張り、壁から 2.3N で引っ張り返されています。

たとえば5274番の微小部分は、5275番から右向きに引っ張られ、5273番から左向きに引っ張られ、それらの力がつり合うことによって5274番は静止しています。この力関係を数式で表すと、
  (+2.3) + (-2.3) = 0
となります。

この力によってロープがちぎれた場合は「2.3N の力によってロープがちぎれた」ということになります。「4.6N の力」ではありません。合算してカウントしません。閉じる

張力というのは、引っ張った方向の力、引っ張り返す方向の力、両方のことをいいます。そしてその大きさは必ず等しくなっています。

また、張力は次のような特徴があります。

左図のように、1本のロープがピンと張っていて、滑車に摩擦がなく、ロープに重さが無いとした場合には、たとえ直線でないとしても各部分の張力は同じ大きさです。(ロープが1本ではなく二股に別れている場合は話が別ですが)。このことはパスカルの原理の1次元版といえます方向が変わっているので「1次元」というのも変ですが。

この「1次元のパスカルの法則」とでもいえるものは、靴ひもにおいてその効果が発揮されています。ボクシングのリングシューズを想像してもらうとよりわかりやすいかもしれません。靴ひもが長く1本でつながっていれば、どの箇所にも同じ力が掛かります。足の先、足首、すね、どこも同じ力が掛かり足が痛くなりません。足のどこかの箇所が大きく膨らんでいたとして、その部分に 1.5N の圧力が掛かっていて、他の箇所には 1.2N の圧力が掛かっていたとしても、靴ひもにパスカルの原理がはたらいて、どこもかしこも 1.3N の均等な圧力になったりして調整されます。個人差のある足の凸凹を靴ひもが調整してくれるのです。オーダーメイドで作ったのと同じ効果を靴ひもが実現してくれます。

登山用ザックの外側にジグザグに張られているバンジーコード(≠コンプレッションベルト)も、この理屈によるものです。一箇所に力が掛かり過ぎてザックが破けないようにするためのものです(たぶん)。
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もう一つ特徴として、張力というのは引っ張ったときにしか発生しません。押し込んだときは発生しません。

垂直抗力

壁や地面を押したときに押し返される力(垂直抗力)も(縮みが観測できないほど小さい場合の)弾性力、とみなすことができます。赤の力と青の力は同時に発生します。時間差はありません。念のため。
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弾性力がはたらかない物質

粘土でできた物体は押し込んだら押し込まれたままで、引っ張られたら引っ張られたままです。元の形に戻りません。このような物質には弾性力ははたらきません。ばねやロープも、引きちぎれてしまったら弾性力ははたらきません。

弾性力というのは、元の形に戻ろうとする力です。