薄膜による干渉_補足

光波における固定端反射と自由端反射

光波が反射するときに、屈折率 小→大 のときは位相が π ズレて、屈折率 大→小 のときは位相が変わらないのですが、その原理を、大雑把にですが説明します。

まず、屈折率が大きいということは、その媒質の中での波の速さが遅い、進みにくいということです。光波が進みにくい媒質は屈折率が大きくなるということです。光波を、ロープを伝わる波にたとえますと、細いロープ(波が伝わりやすい媒質)を進む波は太いロープ(波が伝わりにくい媒質)とのつなぎ目部分で固定端反射をしそうですし、

太いロープを進む波は、細いロープとのつなぎ目部分で自由端反射をしそうです。

つなぎ目部分の作用を運動量保存の法則で考えてみますと、
軽い物体が重い物体に当たる場合、跳ね返されます。固定端反射のイメージです。

重い物体が軽い物体に当たるとそのまま進みます。自由端反射のイメージです。

、、、こんな感じです。なんとなくでもイメージがつかめましたでしょうか。

なぜ膜は薄くなければならないのか

薄膜による光の干渉が起こるのは、膜が薄いときだけです。厚いと起こりません。

光が膜に(垂直に当たる場合)の明るくなる条件の式、

    2d = (m+\(\large{\frac{1}{2}}\))\(\large{\frac{\lambda}{n}}\)   (m = 0,1,2,…)

において、膜の厚さ d = 1.0μm(マイクロメートル)(=1.0×10-6m)、膜の屈折率 n = 1.5 とし、このような薄膜に白色光(太陽や白熱電球の光のように様々な波長を含んだ光)を垂直に当てたとします。

    2d = (m+\(\large{\frac{1}{2}}\))\(\large{\frac{\lambda}{n}}\)

 ⇒  2×1.0×10-6 = (m+\(\large{\frac{1}{2}}\))\(\large{\frac{\lambda}{1.5}}\)

 ∴  3×10-6 = (m+\(\large{\frac{1}{2}}\)) λ

 ∴  (m+\(\large{\frac{1}{2}}\)) λ = 3×10-6

 ∴  λ = \(\large{\frac{3\times10^{-6}}{(m+\frac{1}{2})}}\)   ……①

可視光線の波長は 3.8~7.8×10-7m くらいであるから、

となり、m正の整数だから、m = 4,5,6,7 の値をとります。この4種類m の値を上の①式に代入して波長を計算すると、λ = 6.7×10-7、5.5×10-7、4.6×10-7、4.0×10-7 m となります。つまり、d = 1.0μm 、n = 1.5 の薄膜に白色光を当てると、この4種類の波長の光が観測者に見える、ということです。白色光を当てた場合のこの実験は、明るくなるのか、暗くなるのか、というより、何色の波長の光が観測されるのかという実験になります。(観測された波長により、厚さ d や、屈折率 n を求めることもできます。)

もし、厚さ d を 10倍の d = 10μm とすると、同じように計算していって、37.9 ≦ m ≦ 78.4 となります。m は正の整数だから、m = 38,39,…,77,78 となり、41種類の値を持ちます。これに対応する λ41種類あります。

もし、厚さ d を 1000倍の d = 1000μm = 1.0mm とすると、同じように計算していって、3845.6 ≦ m ≦ 7894.2 となります。m は正の整数だから、m = 3845,3846,…,7893,7894 となり、4050種類の値を持ちます。これに対応する λ4050種類あります。

これは、厚さ d が 1.0mm もあると、上から白色光を当てたときに、4050種類もの波長の光が反射して強め合って観測者に届くということです。4050種類というと、ほぼ全ての色です。これだと観測者には白色に感じます。(全ての色が混ざると白色です)。これでは光の干渉現象が起きているかどうか判別できません。少し厚さを変えたとしても、どのみち何千種類もの光が反射するので、白色としか感じず、実験になりません。

ですので、膜の厚さは 数μm 程度がいいのです。このくらい薄ければ、厚さを少しずつ変えると反射する光の色(波長)も変化し、干渉現象が起きていることが確認できます。

しかしこれはあくまでも、白色光を当てたときの話です。もし、単色光(レーザー光のような1種類の波長しか持たない人工的な光)を当てた場合は、厚さが 1mm 程あっても干渉現象は確認できます。4050種類の中の1種類の光を使って実験すればいいのです。たとえば、膜に振動を与えたりして厚さを小刻みに変化させれば、明るくなったり、暗くなったりして、干渉現象が起きていることを確認できます。つまり、薄膜による干渉実験は単色光を使うなら、薄くなくても構いません。