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図3のように、三つの抵抗 R1、R2、R3からなる電気回路に、一定電圧 30V を発生する直流電源と電流計を接続した。R1、R2の抵抗値はそれぞれ 60Ω と 20Ω であるが、R3 の抵抗値は分かっていない。ただし、電流計の内部抵抗は無視するものとする。

図 3

(問3)次の文章中の空欄910に入る数値はいくらか。

図3のA、B間の電圧の値は 12V であった。このことから、R3の抵抗値は9Ω であり、電流計を流れる電流は10A である。

(問4)図4のように、R1とR2はそのままにして、R3を可変抵抗(抵抗値を連続的に変えられる抵抗)R4とつなぎ換えた。R1とR2で消費される電力をそれぞれ P1P2 とする。R4の抵抗値を 0Ω から大きくしていったときの P1P2 の変化に関する語句の組合せとして最も適当なものを、下の①~⑨のうちから一つ選べ。

図 4
P1 P2
増加する 増加する
増加する 変化しない
増加する 減少する
変化しない 増加する
変化しない 変化しない
変化しない 減少する
減少する 増加する
減少する 変化しない
減少する 減少する

#センター13本試

(問3)
A、B間の電圧が 12V なのだから、R2に流れる電流はオームの法則より \(\large{\frac{12}{20}}\) = 0.60 [A] です。

そして、電源が 30V であるので、R1に掛かる電圧、R2とR3に掛かる電圧は共に 30V です。

ということは、R3に掛かる電圧は 18V であり、

点Aに流れる電流が 0.60A なのだから、これがR3にも流れ、

すなわち、R3の抵抗の値は \(\large{\frac{18}{0.60}}\) = 30 [Ω]

R1に流れる電流は \(\large{\frac{30}{60}}\) = 0.50 [A] であるので、

回路全体の電流(電流計を流れる電流)は 0.50 + 0.60 = 1.1 [A]

 

 

(問4)
電力というのは電流と電圧を掛けたものです。

P1 について)
R1に掛かる電圧は、R4がどんなに変化しようと、30V で変わりません。そしてそれに伴って、流れる電流も \(\large{\frac{30}{60}}\) = 0.50 [A] で変わりません。

つまり、R1で消費される電力 P1 は、ずっと 0.50 × 30 = 15 [W] で変わりません

 

P2 について) 問3において回路全体の電流が 1.1A だったからといって問4でも 1.1A というわけではないことに注意してください。電圧は問3のときと同じですが電流は同じかどうかわかりません。
例えば、R4 = 0 [Ω] のとき、R2を流れる電流は \(\large{\frac{30\rm{[V]}}{20\rm{[Ω]}}}\) = 1.5 [A]

R2に掛かる電圧は 20[Ω] × 1.5[A] = 30 [V]

よって、R2で消費される電力 P2 は 1.5[A] × 30[V] = 45 [W]

例えば、R4 = 10 [Ω] のとき、R2を流れる電流は \(\large{\frac{30}{20+10}}\) = 1.0 [A]

R2に掛かる電圧は 20[Ω] × 1.0[A] = 20 [V]

よって、R2で消費される電力 P2 は 1.0[A] × 20[V] = 20 [W]

例えば、R4 = 20 [Ω] のとき、R2を流れる電流は \(\large{\frac{30}{20+20}}\) = 0.75 [A]

R2に掛かる電圧は 20[Ω] × 0.75[A] = 15 [V]

よって、R2で消費される電力 P2 は 0.75[A] × 15[V] = 11.25 [W]

…というように、R4の値を大きくしていくと P2小さくなっていきます もうちょっと厳密に式を立てて考えてみます。

A点を流れる電流を IA 、R2に掛かる電圧を V2 、R4の値を R4 と置きます。すると、
R2、R4を合わせた合成抵抗の大きさは 20 + R4
電流の大きさは IA = \(\large{\frac{30}{20+R_4}}\)
求める電力は P2 = IA × V2 = IA × 20×IA = 20 × I22 = 20 × (\(\large{\frac{30}{20+R_4}}\))2
この式より、R4 が大きいほど P2 が小さくなるとわかります。

 

(というわけで)

答えはです。