底面積 S の円筒形のコップを密度 ρ の液体につけてから持ち上げたところ、図2のように、コップ内外の液面の高さの差が h となった。コップ内部の空気の圧力 P を式で表わせ。ただし、大気圧を P0 、重力加速度の大きさを g とする。
#センター16本試物理基礎
液体の圧力は深さによるので、深さが同じであれば圧力は同じであり、左図の赤点線での圧力はコップ外の圧力 P0 と同じということになります。
そして、赤点線から上の液体の重さは (密度)×(体積)×(重力加速度) であり、
ρ×(Sh)×g = ρShg
です。
この重さが面積 S の面に掛かっているので、赤点線の面に掛かる圧力は
\(\large{\frac{ρShg}{S}}\) = ρhg
です。(これは、『水圧の式』の所で説明した流体の圧力 p = ρhg のことです。)
赤点線の面にはこれに P を加えた圧力が掛かっています。すなわち、
P0 = ρhg + P
∴ P = P0 - ρhg
です。
(余談)
もし液体が水(1000kg/m3)だとすると、
P0 = ρhg + P
の式は
P0 = 1000hg + P
となり、さらに、コップ内部の空気の圧力が 0 (真空)だとすると、
P0 = 1000hg
で、大気圧の値は 1 atm = 1013 hPa = 101300 Pa = 101300 N/m2 とされているので、
101300 [N/m2] = 1000hg
⇔ 101300 [N/m2] = 1000 [kg/m3] × h [m] × 9.8 [m/s2]
∴ h [m] = \(\large{\frac{101300}{1000×9.8}}\) × \(\large{\frac{[\rm{N}/\rm{m}^2]}{[\rm{kg}/\rm{m}^3][\rm{m}/\rm{s}^2]}}\) (運動方程式より [N] = [kg⋅(m/s2)] だから)
= \(\large{\frac{101.3}{9.8}}\) × \(\large{\frac{[1/\rm{m}^2]}{[1/\rm{m}^3]}}\)
≒ 10.337 [m]
コップ内の水の高さは 約10.3m です。(液体が水銀の場合は 76cm です。)
これは、真空ポンプを使って水を吸い上げようとしても 10.3m の高さまでしか上がらないということです。
とても長いコップを水に沈めて空気を抜き、
立てても、
水は 10.3m の高さまでしか昇りません。
コップを 15m の高さまで引き上げても 4.7m分は真空になります。真空ポンプを使っても無理です。
この話は、川の水や池の水などのように大気に接している水の話です。水道管などの水は大気に接していないのでいくらでも加圧できます。高層ビルの最上階まで水を昇らせることができます。