次の文章中の空欄ア・イに入れる語句および数値の組合せとして最も適当なものを、下の①~⑥のうちから一つ選べ。
アルミニウムの比熱(比熱容量)が 0.90J/(g・K) であることを確認する実験をしたい。図3(a)のように、温度 \(T_1\) = 42.0℃、質量 100g のアルミニウム球を、温度 \(T_2\) = 20.0℃、質量 \(M\) の水の中に入れ、図3(b)のように、アルミニウム球と水が同じ温度になったとき、水の温度 \(T_3\) を測定する。水の質量 \(M\) がアなるほど、温度上昇 \(T_3 - T_2\) が小さくなる。
温度上昇 \(T_3 - T_2\) が 1.0℃ になるようにするためには、\(M\) = イg としなければならない。ただし、水の比熱は 4.2J/(g・K) であり、熱はアルミニウム球と水の間だけで移動し、水およびアルミニウムの比熱は温度によらず一定とする。
① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | |
---|---|---|---|---|---|---|
ア | 大きく | 大きく | 大きく | 小さく | 小さく | 小さく |
イ | 450 | 500 | 630 | 450 | 500 | 630 |
#共テ21追試物理基礎
温度上昇 \(T_3 - T_2\) というのは水がどれだけ温度上昇するかということであり、ざっくりいうと、常温の水に熱々のアルミニウム球を突っ込んだときに、どれだけ温度上昇するかという話であり、なるべく温度上昇させたくないならたっぷりの水を使うべきだから水の質量は 大きい ほうがいいに決まってます。
次に、
温度上昇 \(T_3 - T_2\) が 1.0℃ になるようにするためとありますが、\(T_2\) = 20.0℃ なのでこれは \(T_3\) = 21.0℃ にしたいということです。
\(M\) の大きさは熱量保存の法則を用いて割り出します。
⑴アルミニウム球が失った熱量(\(Q = mcΔT\))は
100 × 0.90 × (\(T_1 - T_3\)) = 100 × 0.90 × (42.0 - 21.0) = 100 × 0.90 × 21.0
⑵水が得た熱量は
\(M\) × 4.2 × (\(T_3 - T_2\)) = \(M\) × 4.2 × 1.0
熱量保存の法則より、⑴高温物体が失った熱量と⑵低温物体が得た熱量は等しいから
100 × 0.90 × 21.0 = \(M\) × 4.2 × 1.0 ……Ⓐ
∴ 90 × 21.0 = \(M\) × 4.2
∴ \(M\) = \(\large\frac{90 × 21.0}{4.2}\) = 90 × 5 = 450
答えは ① です。
(仮に温度上昇が 10.0℃ になるようにしたい場合は)
上のⒶ式は以下のようになり、
100 × 0.90 × 21.0 = \(M\) × 4.2 × 10.0
∴ \(M\) = \(\large\frac{90 × 21.0}{42}\) = 90 × 0.5 = 45
と求まり、やはり水の量が少ないと温度上昇が大きいとわかります。
『この実験でアルミニウムの比熱が 0.90J/(g・K) であることを確認する』
と問題文にありますが、それはたとえばⒶ式において右辺の \(M\) を測定することにより左辺の 0.90 を割り出す、というようなことです。p>