幾何光学における光線と像について
4種の色が塗られた左図のような棒があるとします。
微小な各地点から四方八方に光線が出ています。
無数の光線の内のごく一部が、人間の目に入っていきます。人間は「棒がある」と認識します。
人間の目に入らない大多数の光線については、人間は知覚しません。
レンズがあると、レンズに捕捉された光線が、屈折し、像を結びます。その位置にスクリーン*あるいは 感光板、あるいは CMOSセンサー。
閉じるを置けば像がくっきり映ります。
スクリーンの位置をズラすと、像はボヤけます。写真撮影でいうところのピンぼけです。
このとき、レンズに捕捉されない光線もたくさんあります。
レンズが大きければ、捕捉される光線の本数も増えます*もちろん、厳密に1本、2本と数えられるものではありません。
閉じる。像はよりくっきり映ります*逆の言い方をしますと、レンズが大きいカメラは、シャッターが開いている時間が短くてもちゃんと像が写るということです。動いている対象物を撮影することができたり、薄暗い所でも撮影できたりします。写真を撮るときにはレンズの大きさが重要です。スマホのカメラは年々性能が向上していますが、レンズの大きいプロ用カメラの性能を追い抜くことは絶対にありません。重い機材を運ぶプロのカメラマンが職を失うことはありません。
閉じる。
レンズの一部が汚れていても像は映ります。若干うすくなりますが。写真撮影において絞り値を大きくすることと同じです。
レンズの代わりに隙間を設置したとします。光線が1本*(ここでもことわっておきますが)、厳密に1本、2本と数えられるわけではありません。
閉じるしか通れないほど小さな隙間です。
ピンホールカメラのことです。
光線の量が少ないので像はうっすらとしか映りません*色濃く写すためには、長時間露光する必要があります。その間、対象物は動いてはなりません。動くものは撮れません。暗いものも撮れません。大昔の写真撮影がこうでした。
閉じる。
このとき、スクリーン*あるいは 感光板。
閉じるの位置を動かしても像は映ります。光線の束を収束させて像を映すわけではなく、光線が1本ずつしか無いので交錯することもありません。
ピンホールカメラは、露光時間(シャッタースピード)を長くしなければならないという欠点がありますが、ピントがズレないという利点があるのです。
もし、隙間がもうちょっと大きく、光線が2本ずつ通過できるとすると、光線が交錯してしまい、くっきりした像が映りません。
ですので、ピンホールカメラの穴は小さいほど良いのです*といっても、小さすぎると今度は回折という問題が発生してしまいます。実際のところは、直径 0.1~0.5mm くらいの大きさが良いようです。
閉じる。穴が小さいから像が映るのです。
・
・
・
と、こんな感じです。幾何光学における、光線、像、の考え方をわかってもらえたでしょうか。