放射線に関する記述として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
① α線、β線、γ線のうち、α線のみが物質中の原子から電子をはじき飛ばして原子をイオンにするはたらき(電離作用)をもつ。
② α線、β線、γ線を一様な磁場(磁界)に対して垂直に入射すると、β線のみが直進する。
③ β崩壊の前後で、原子核の原子番号は変化しない。
④ 自然界に存在する原子核はすべて安定であり、放射線を放出しない。
⑤ シーベルト(記号Sv)は、人体への放射線の影響を評価するための単位である。
#センター17本試物理
① α線、β線、γ線のうち、α線のみが物質中の原子から電子をはじき飛ばして原子をイオンにするはたらき(電離作用)をもつ。
『α線、β線、γ線』で説明したとおり、α線はヘリウムの原子核の流れです。β線は電子の流れです。γ線は電磁波です。たしかにα線は電離作用が強いですが、β線もγ線もいちおう電離作用があります。
② α線、β線、γ線を一様な磁場(磁界)に対して垂直に入射すると、β線のみが直進する。
磁場中で直進するのは電荷をもたないγ線です。
③ β崩壊の前後で、原子核の原子番号は変化しない。
β崩壊では中性子が陽子に変化し、質量数は変わらず原子番号が1増えます。
④ 自然界に存在する原子核はすべて安定であり、放射線を放出しない。
『放射性崩壊』で説明したとおり、原子番号が大きい原子核の中には不安定なものがあり、それらは自然に放射線を放出して安定なものに変化します。これらの原子核は自然界に存在するものもあれば人工的に作られたものもあります。
⑤ シーベルト(記号Sv)は、人体への放射線の影響を評価するための単位である。
『放射能と放射線の単位』で説明したとおり、シーベルト(Sv)は、放射線の人体への健康被害を考慮した単位です。
答えは ⑤ です。