放射性崩壊
放射性崩壊とは
原子番号が大きい原子核の中には不安定なものがあり たとえば ウラン\(\ce{^{238}_{92}U}\) や ラジウム\(\ce{^{226}_{88}Ra}\) などです 、それらは自然に放射線を放出して安定なものに変化します。放射性崩壊といいます。
α崩壊、β崩壊、γ崩壊
放射性崩壊にはα崩壊とβ崩壊とγ崩壊の3種類があります。 この3種しかありません。放射線についてはα線、β線、γ線以外にもありましたが、放射性崩壊に関してはα崩壊、β崩壊、γ崩壊の3種だけです。(β崩壊の中にいくつか種類があったりはしますが。。)
α崩壊
α線を出しながら崩壊するのがα崩壊です。原子番号が大きい、つまり質量数が大きい不安定な原子核に起こります。α線というのはα粒子の流れのことです。α粒子というのは\(\ce{^{4}_{2}He}\)で表されるヘリウム原子核のことで、陽子2個と中性子2個から構成されています 陽子2個と中性子2個という組み合わせのヘリウム原子核は、結び付きがとても強固です。固まって行動しがちです。 。ということはα崩壊では原子核から陽子が2個減り(原子番号\(Z\)が2減り)、陽子と中性子の合計数が4個減る(質量数\(A\)が4減る)ということです。
核反応式 核反応を表す式です。化学反応を表す化学反応式と似ています。核反応式ではその左右で質量数\(A\)と原子番号\(Z\)の収支が合ってます。 を用いて例を挙げますと、
$$ \ce{^{238}_{92}U -> ^{234}_{90}Th + ^{4}_{2}He} $$(ウラン238がα崩壊しトリウム234になる) αを用いて $$ \ce{^{238}_{92}U -> ^{234}_{90}Th + \alpha} $$ と表現することもあります。
$$ \ce{^{226}_{88}Ra -> ^{222}_{86}Rn + ^{4}_{2}He} $$(ラジウム226がα崩壊しラドン222になる)
\(^{A}_{Z}{\large\rm{X}}\) の \(^{A}_{}{}\) が4減って \(^{}_{Z}{}\) が2減ってます。
β崩壊
β線を出しながら崩壊するのがβ崩壊です。中性子が過剰で不安定な原子核に起こります。β線というのは電子の流れのことです。β崩壊では過剰な中性子が陽子に変化し、その過程で電子と反電子ニュートリノというものを放出します
中性子の質量が陽子よりわずかに大きいのはこのためです。
反電子ニュートリノは電荷も持たず質量もほとんどありません。
電荷0の中性子が \(+e\) [C] の陽子に変化するのですから、\(-e\) [C] の電子が放出されるのは電気的な観点で納得できます。といいますか超乱暴なことをいうと陽子と電子が結びついたものが中性子です。
。電子を出しますが陽子と中性子の合計数は変わりません。中性子が1個減り、陽子が1個増えます(原子番号\(Z\)が1増え、質量数\(A\)は変わらない)。
中性子の変化を反応式で表しますと、
$$ \ce{n -> p + e- + \overline{\nu_{e}}} $$β崩壊の例を挙げますと、
$$ \ce{^{3}_{1}H -> ^{3}_{2}He + e-} $$ (水素3がβ崩壊しヘリウム3になる)
水素3は普通、三重水素といいます。
\(\overline{\nu_{e}}\) は影響がないので書きません。書いてもいいです。
(ビスマス210がβ崩壊しポロニウム210になる)
\(^{A}_{Z}{\large\rm{X}}\) の \(^{A}_{}{}\) が変わらず \(^{}_{Z}{}\) が1増えてます。
γ崩壊
α崩壊やβ崩壊によってできた原子核は高いエネルギーを持っていることが多く、余剰分を電磁波としてはき出します。この電磁波がγ線であり、この現象をγ崩壊といいます。原子番号\(Z\)も質量数\(A\)も変わりません。あまり崩壊感はありません。