次の文章中の空欄ア・イに入れる式と語の組合せとして最も適当なものを、下の①~⑧のうちから一つ選べ。
太陽の中心部では、\(\ce{^1_1H}\)が次々に核融合して、最終的に\(\ce{^4_2He}\)が生成されている。その最終段階の反応の一つは、次の式で表すことができる。
\(\ce{^3_2He + ^3_2He -> ^4_2He +}\)ア
この反応ではエネルギーがイされる。ただし、\(\ce{^2_1H}\)、\(\ce{^3_2He}\)、\(\ce{^4_2He}\)の結合エネルギーは、それぞれ 2.2MeV、7.7MeV、28.3MeV であるとする。
ア | イ | |
---|---|---|
① | \(\ce{^1_1H}\) | 放出 |
② | \(\ce{^1_1H}\) | 吸収 |
③ | \(2\ce{^1_1H}\) | 放出 |
④ | \(2\ce{^1_1H}\) | 吸収 |
⑤ | \(\ce{^2_1H}\) | 放出 |
⑥ | \(\ce{^2_1H}\) | 吸収 |
⑦ | \(2\ce{^2_1H}\) | 放出 |
⑧ | \(2\ce{^2_1H}\) | 吸収 |
#センター17本試物理
『太陽内部の核融合』で説明したように、太陽内部の核融合では最終段階として以下のような反応が起こります。
\begin{align} \ce{^3_2He + ^3_2He -> ^4_2He + \color{yellow}\underline\color{black}{^1_1H + ^1_1H}} \end{align}検算をしてみますと…、
核反応の前後での質量数の和(上段の数値3+3=4+1+1)と原子番号の和(下段の数値2+2=2+1+1)は一定となっています。
そして、核融合反応ではエネルギーが 放出 されます。
答えは ③ です。
(余談:問題文中に示されている結合エネルギーの数値は問題を解く上で不必要ですが)
上記の核反応における放出エネルギーを導き出すことができます。
左辺の結合エネルギーの和は 7.7[MeV] + 7.7[Mev] = 15.4[MeV]
右辺の結合エネルギーの和は 28.3[Mev] (\(\ce{^1_1H}\)原子核は核子が1つしかないわけですから結合エネルギーはありません)
この差 12.9Mev がこの反応で放出されるエネルギーです。