次の文章中の空欄エ~カに入れる式と語句の組合せとして最も適当なものを、下の①~⑧のうちから一つ選べ。
X線は、波動性とともに粒子性をもつ。粒子性を示す一例としてコンプトン効果(コンプトン散乱)があげられる。図2に示すように、波長 \(λ\) の入射X線の光子が、静止した電子と衝突し、散乱されることを考えよう。散乱X線の波長を \(λ'\) とすると、その光子の運動量はエ、エネルギーはオである。入射X線のエネルギーの一部が電子に与えられるため、波長 \(λ'\) は波長 \(λ\) と比べてカ。ただし、光の速さを \(c\)、プランク定数を \(h\) とする。
エ | オ | カ | |
---|---|---|---|
① | \(\large\frac{h}{λ'}\) | \(\large\frac{λ'}{hc}\) | 長くなる |
② | \(\large\frac{h}{λ'}\) | \(\large\frac{λ'}{hc}\) | 短くなる |
③ | \(\large\frac{h}{λ'}\) | \(\large\frac{hc}{λ'}\) | 長くなる |
④ | \(\large\frac{h}{λ'}\) | \(\large\frac{hc}{λ'}\) | 短くなる |
⑤ | \(hλ'\) | \(\large\frac{λ'}{hc}\) | 長くなる |
⑥ | \(hλ'\) | \(\large\frac{λ'}{hc}\) | 短くなる |
⑦ | \(hλ'\) | \(\large\frac{hc}{λ'}\) | 長くなる |
⑧ | \(hλ'\) | \(\large\frac{hc}{λ'}\) | 短くなる |
#センター16追試物理
『光子のエネルギーと運動量』で説明したとおり、光子のエネルギーは
\(E = \large\frac{hc}{λ}\)
で、光子の運動量は
\(p = \large\frac{h}{λ}\)
で、いまは \(λ\) が \(λ'\) なので
\(E = \large\frac{hc}{λ'}\)
\(p = \large\frac{h}{λ'}\)
です。
入射X線のエネルギーの一部が電子に与えられるため、散乱X線のエネルギーはその分小さくなるわけですが、エネルギーというのは
\(E = \large\frac{hc}{λ}\)
と表されるわけなので分子の \(λ\) は 大きくなります 。
答えは ③ です。