電力やエネルギーに関心をもったため、発電所から家庭までの送電について調べたところ、図3に示すようなしくみで送電されていることがわかった。発電所から送電線に電力を送り出す際の交流電圧を \(V\) 、送電線を流れる交流電流を \(I\) 、 送電線の抵抗を \(r\) とする。ただし、\(V\) や \(I\) は交流の電圧計や電流計が表示する電圧、電流であり、これらを使うと交流でも直流と同様に消費電力が計算できるものとする。
(問3)次の文章中の空欄14・15に入れる値として最も適当なものを、それぞれの直後の{ }で囲んだ選択肢のうちから一つずつ選べ。
発電所から電力を送り出すとき、送電線の抵抗 \(r\) によって生じる電力損失(発熱による損失)を小さく抑えたい。たとえば、この電力損失を10-6倍にするためには、\(I\) を
14{ ①10-6倍 ②10-3倍 ③103倍 ④106倍 }
にすればよい。このとき、発電所から同じ電力を送り出すためには、\(V\) を
15{ ①10-6倍 ②10-3倍 ③103倍 ④106倍 }
にしなければならない。
#共テ23本試物理基礎
14
電力というのは電流と電圧を掛けたものであり(\(P = IV\))、オームの法則(\(V = rI\))を代入すれば電力(\(P_{\rm{r}}\)とする)は
\(P_{\rm{r}} = rI^2\)
となります。この電力が抵抗で発生してしまうのであり、電力損失を小さくしたいということはこの電力を小さくしたいということであり、10-6倍にするためには \(I\) は ②10-3倍 にすればよい、となります。
13
発電所から送り出される電力を \(P_{\rm{p}}\) と置きますと、
\(P_{\rm{p}} = IV\)
でありますが、\(I\) を 10-3倍 にしたいのなら \(V\) を ③103倍 にすれば \(P_{\rm{p}}\) の大きさを同じにしておくことができます。
発電所から送電するときは電圧を高くすると電力損失が少なくて効率がいいということです。このことは『変圧器_補足』項で説明しました。抵抗を表すグラフの傾きが決まっているという角度から説明しましたが実質的な内容は本問と同じです。