qO5S7

小球の運動について問いに答えよ。ただし、空気抵抗は無視できるものとする。

 

同じ質量の二つの小球A、Bを用意した。図2のように、水平な床を高さの基準面として、小球Aを高さ \(h\) の位置から初速度0で自由落下させると同時に、小球Bを床から初速度 \(V_0\) で鉛直に投げ上げたところ、小球A、Bは同時に床に到達した。

図 2

 

(問4)\(V_0\) を、\(h\) と重力加速度の大きさ \(g\) を用いて表す式として正しいものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。

① \(\sqrt{\large\frac{h}{g}}\) ② \(\sqrt{\large\frac{g}{h}}\) ③ \(\sqrt{gh}\) ④ \(\sqrt{\large\frac{h}{2g}}\) ⑤ \(\sqrt{\large\frac{g}{2h}}\) ⑥ \(\sqrt{\large\frac{gh}{2}}\) 

 

(問5)次の文章中の空欄に入れる式の組合せとして正しいものを、後の①~⑨のうちから一つ選べ。

床に到達する時点での小球A、Bの運動エネルギー \(K_{\rm{A}}\) 、\(K_{\rm{B}}\) の大小関係は、計算をせずとも以下のように調べられる。

小球Bの最高点の高さを \(h_{\rm{B}}\) とする。運動を開始してから床に到達するまでの時間は小球A、Bで等しいことから、\(h\) と \(h_{\rm{B}}\) の大小関係はであることがわかる。小球が最高点から床に達する間に失った重力による位置エネルギーは、床に到達する時点で運動エネルギーにすべて変換されるので、\(K_{\rm{A}}\) と \(K_{\rm{B}}\) の大小関係はであることがわかる。

\(h = h_{\rm{B}}\) \(K_{\rm{A}} > K_{\rm{B}}\)
\(h = h_{\rm{B}}\) \(K_{\rm{A}} < K_{\rm{B}}\)
\(h = h_{\rm{B}}\) \(K_{\rm{A}} = K_{\rm{B}}\)
\(h < h_{\rm{B}}\) \(K_{\rm{A}} > K_{\rm{B}}\)
\(h < h_{\rm{B}}\) \(K_{\rm{A}} < K_{\rm{B}}\)
\(h < h_{\rm{B}}\) \(K_{\rm{A}} = K_{\rm{B}}\)
\(h > h_{\rm{B}}\) \(K_{\rm{A}} > K_{\rm{B}}\)
\(h > h_{\rm{B}}\) \(K_{\rm{A}} < K_{\rm{B}}\)
\(h > h_{\rm{B}}\) \(K_{\rm{A}} = K_{\rm{B}}\)

#共テ23本試物理基礎

(問4)

小球Aが床に到達するまでの時間(=小球Bが床に戻ってくるまでの時間)を \(t\) と置いて自由落下運動の変位の式を立てますと

  \(h = {\large\frac{1}{2}}gt^2\)

∴ \(t^2 = {\large\frac{2h}{g}}\)

∴ \(t = {\sqrt\frac{2h}{g}}\)

鉛直上向きを正として小球Bの鉛直上方投射の速度の式を立てますと

  \(-V_0 = V_0 - gt\)  これは投げ上げてから床に戻ってくるまでの式ですが、
もし、投げ上げてから最高点に達するまでの式を立てるとすると
 \(-V_0 = 0 - g・\large\frac{1}{2}t\)
となります。結局同じですが。

\(t\) を代入して

  \(-V_0 = V_0 - g{\sqrt\frac{2h}{g}}\)

∴ \(2V_0 = g{\sqrt\frac{2h}{g}}\)

∴ \(2V_0 = {\sqrt{2gh}}\)

∴ \(V_0 = {\sqrt\frac{gh}{2}}\)

答えはです。

 

(余談)
小球Aが床に到達するときの速さを \(V_\rm{A}\) と置いて \(t\) を含まない式を立てますと

  \(V_{\rm{A}}^2 - 0 = 2gh\)

∴ \(V_{\rm{A}} = {\sqrt{2gh}}\)

上の \(V_0\) と比較すると

  \(V_{\rm{A}} = 2V_0\)

となっています。

また、小球Bの最高点の高さ \(h_{\rm{B}}\) 用いて \(t\) を含まない式を立てますと

  \(0 - V_0^2 = -2gh_{\rm{B}}\)

∴ \(h_{\rm{B}} = {\large\frac{V_0^2}{2g}} = {\large\frac{\Big({\sqrt\frac{gh}{2}}\Big)^2}{2g}}= {\large\frac{\frac{gh}{2}}{2g}} = {\large\frac{h}{4}}\)

であり、\({\large\frac{1}{4}}\)の高さに上がるように投げ上げると同時に床に着くとわかります 半分の時間で床に到達させたいときは\({\large\frac{1}{4}}\)の高さから落とせばいい、ということでもあります。
 
またこれらのことは、上で求めた \(t = {\sqrt\frac{2h}{g}}\) の式を分析することでも導き出せます。小球Bは往復しなければならないのだから \(t\) を半分にしたいが、そのためには \(h\) を\({\large\frac{1}{4}}\)にしなければならない、と。

 

 

(問5)
問題文にある通り「運動を開始してから床に到達するまでの時間は小球A、Bで等しい」わけですが、
鉛直投げ上げ運動では往復の往の時間と復の時間は同じだから小球Bが最高点から床に達するまでの時間は半分であり、小球Aも小球Bも自由落下運動をすると仮定したときに時間が半分ということはスタート地点の高さは小球Bの方が 低く なっています。(上の余談で説明したように\({\large\frac{1}{4}}\)の高さ)

そして問題文にある通り「小球が最高点から床に達する間に失った重力による位置エネルギーは、床に到達する時点で運動エネルギーにすべて変換されるので」最高点の低い小球Bの方が運動エネルギーは 小さい ということになります。
具体的な力学的エネルギー(位置エネルギーであり、運動エネルギー)は

  \(K_{\rm{A}} = mgh\)

  \(K_{\rm{B}} = {\large\frac{1}{2}}mV_0^2 = mgh_{\rm{B}} = {\large\frac{1}{4}}mgh\)

です。

答えはです。