水力発電では、高い場所で取水した水を低い場所にある発電機に導くことで、位置エネルギーの差の一部を電気エネルギーに変換させて電力を得る。この変換の割合を発電の効率と呼ぶ。表1のような条件を持つ三つの水力発電所A、B、Cで得られる電力の大小関係を表す式として正しいものを、下の①~⑥のうちから一つ選べ。ただし、表1の h と M は正の定数とする。
発電所A | 発電所B | 発電所C | |
---|---|---|---|
発電機から見た取水地点の高さ | h | 4h | 0.6h |
単位時間あたりに流れる水の質量 | M | 0.5M | 1.5M |
発電の効率 | 60% | 70% | 80% |
得られる電力 | a | b | c |
① a < b < c ② b < a < c ③ c < a < b
④ a < c < b ⑤ b < c < a ⑥ c < b < a
#センター15本試物理Ⅰ
重力による位置エネルギーは高さと質量に比例します。そして得られる電力は発電の効率に比例しますから、結局、
a ∝ h × M × 0.6
b ∝ 4h × 0.5M × 0.7
c ∝ 0.6h × 1.5M × 0.8
つまり、
a ∝ 0.6Mh
b ∝ 1.4Mh
c ∝ 0.72Mh
すなわち、
④ a < c < b
(補足:重力加速度を g と置いて具体的に考える)
重力加速度の大きさを g と置きますと、発電所Aにおける単位時間あたりに流れる水のエネルギーは
Mgh
であり、電力というものはエネルギーを時間で割ったものであり、効率が 60% ということであるので、発電所Aが得られる電力は
0.6Mgh
となります。
同様に、発電所Bが得られる電力は
1.4Mgh
であり、発電所Cが得られる電力は
0.72Mgh
であるので、
a < c < b
となります。