電池の起電力と内部抵抗

電池の起電力と内部抵抗

電気回路において電池(電源)というものは、+極から負電荷(自由電子)を引き込んで、ー極に負電荷を送り出す装置です。左図のようなものにたとえられます。

これは、ー極から正電荷を引き込んで、+極に正電荷を送り出す装置、とみなすこともできます。

+極とー極の電位差(電圧)によって回路に電流を流すものです。しかしこの電池にはややこしい特性があります。電流が大きくなると性能が下がるのです。

たとえば、
起電力(理論上の電圧) 24V の電池に、

6.0Ω の抵抗器をつなげると 3.0A の電流しか流れなかったりします。オームの法則 V = RI からすれば (24V ÷ 6.0Ω =) 4.0A の電流が流れるはずなのにそうではないのです。3.0A しか流れてないのでこの電池の実質的な電圧は (3.0A × 6.0Ω =) 18V になっています。

さらに、この電池に 4.0Ω の抵抗器をつなげると 4.0A の電流しか流れなかったりします。V = RI からすれば (24V ÷ 4.0Ω =) 6.0A の電流が流れるはずなのに、です。4.0A しか流れてないのでこの電池の実質的な電圧は (4.0A × 4.0Ω =) 16V になっています。

さらに抵抗値の小さい抵抗器をつなげると実質的な電圧(これを端子電圧といいます)はもっと小さくなります。

電池というものは抵抗値の小さい抵抗器をつなげると性能が下がるのです。抵抗値が小さいということは電流が大きいということです。流れる電流が大きくなると電池は本領を発揮できないのです。(『ホイートストンブリッジと電位差計』参照)

電荷がたくさんあると回転翼が効率良く回らなくなってしまうのです。

もちろん実際の電池の仕組みはもっと複雑です。興味のある方は「化学電池 内部抵抗 化学反応」等のキーワードで検索してみてください。

この電池の性能低下は、電池の内部に抵抗がある、とみなすとツジツマを合わせることができます。この抵抗を内部抵抗といいます。

電池の端子電圧を V [V] 、起電力を E [V] E は electromotive force(起電力)の頭文字からきています。E は電場の量記号としても使われますが、起電力という量と電場という量は一緒に使われることはほとんどありません。

たまに、端子電圧のことを E で表すことがあるので、問題が出題されたときは問題文をよく読んでください。
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、内部抵抗を r [Ω] 、電流を I [A] とすると以下の関係があります。

電池の起電力と内部抵抗

 V = E - rI

起電力 E の電池に抵抗値の小さい抵抗器をつなげると電流 I が大きくなり、内部抵抗 r と掛け合わせた rI だけ電圧が下がり、端子電圧は V になってしまう、という意味の式です。

この式を V-Iグラフで表すと左図のようになります。

電流 I が 0 のときは端子電圧 V は起電力 E に等しく外部抵抗がとてつもなく大きいときは電流がほとんど流れず、端子電圧は起電力とほぼ等しくなる、ということです。
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、電流が \(\large{\frac{E}{r}}\) ほどの大きさがあるときは、もはや端子電圧は 0 になってしまいますV = E - rI において V = 0 のとき 0 = E - rI すなわち E = rI すなわち I = \(\large{\frac{E}{r}}\) 。
外部抵抗がほぼ 0 のとき、最大で \(\large{\frac{E}{r}}\) の電流が流れる、といういことです。
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。グラフの曲線の傾きは - r です。

また、上で挙げた電池の例でいいますと、V = 18V 、E = 24V 、I = 3.0A を上式に代入して内部抵抗 r を求めますと、

    18V = 24V - r × 3.0A

    r = 2.0Ω

と分かります。抵抗器を 6.0Ω から 4.0Ω につなぎ変えたときの式は

    16V = 24V - 2.0Ω × 4.0A

となります。

この内部抵抗は以下のようにイメージすることができます。

起電力の部分と内部抵抗の部分の順番はどちらが先でも構いませんが、直列に並んでいる、とイメージしてください。起電力 E の電源に、r の抵抗と R の抵抗が直列につながれている、と考えるのです。

すると、合成抵抗R + r であり、この2つの抵抗には E の電圧が掛かり、オームの法則より、

    E = (R + r) I

という式が立てられ、この式を変形していくと、

    E = RI + rI

 ∴  RI = E - rI

となり、RI = V 抵抗 R には、電流 I が流れ、キルヒホッフの第2法則より電圧 V が掛かり、オームの法則より V = RI が成り立ちます。
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であるので代入すると、

    V = E - rI

であり、これが上で示した電池の起電力と内部抵抗の式であるわけです。