接する物体

接する物体

接する2物体

なめらかな水平面上(あるいは宇宙空間)に、質量 m1m2 の物体A、物体Bを接して置き、物体Aを水平方向(物体Aから物体Bの方向)に一定の力 F で押すときの運動について考えてみます。

このとき、物体Aと物体Bは接触したまま離れません接触面が斜めだったりすれば、物体Aが物体Bを押し上げたりするでしょうが、そういうことは起こらないこととします。接触面は垂直であるとします。
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物体Aと物体Bが離れているところに力を加えれば、衝突が起こり、運動量が交換され、離ればなれになっていくでしょうが、

始めから接触していれば衝突が起こらないので、離ればなれになっていくことはありません。物体Bは慣性力を受けはしますが、離ればなれにはなりません。くっついたままです地面に置かれた物体が、勝手に飛び上がることが無いのと一緒です。
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力を加えるのをやめた後も離ればなれにはなりません。物体Aと物体Bの接触面には何の力もはたらかなくなりますが、接触したまま運動を続けます。

実際に実験した場合には、力を加えるのをやめた後は、2つの物体はゆっくり離ればなれになるでしょうが、それは物体Bにわずかながら弾性力があるためだと思います。
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くっついたままなので、2物体を1物体と見立てて運動方程式を立てることができます。加速度を a として、加えた力の方向を正としますと、

    (m1 + m2) a = F

 ∴  a = \(\large{\frac{F}{m_1+m_2}}\)

これが物体A、物体Bの共通の加速度です。

このとき、物体Aと物体Bの間には互いに押し合う作用・反作用の力がはたらいています。AがBを押し、Bが同じ力でAを押し返しているのです。作用・反作用の法則は加速している最中でも成り立ちます。

そしてここがポイントなのですが、この力は F と同じではありません。F より少し小さい力です。力 F はBに届くまでにAを加速するために使われて、目減りしています。目減りしてしまってはA、B両方を上で求めた a で加速させることができないと思われてしまうかもしれませんが、そうではありません。目減りした力はAとBを両方押すのではなく、Bだけを押すので大丈夫なのです。

力が目減りするのはおかしいと感じてしまうとすれば、それは力のつり合いと話がごちゃまぜになっているからです。確かに、力のつり合いを考えるときは力は目減りしません。

しかし、力のつり合いを考えるときは物が動かないときです。(正確には物の速度が変わらないときです)。

力のつり合いを考えるときは加速度が 0 なので運動方程式は立てられません。今は加速度が 0 ではないので力はつり合っておらず、運動方程式を立てることができます。

そういうわけで、この目減りした、AとBの間にはたらく力を f とおき、この力の大きさを求めてみます。

物体Aだけに着目して考えてみます。

すると、物体Aについての運動方程式は、

    m1a = F - f

この式に上で求めた加速度 a = \(\large{\frac{F}{m_1+m_2}}\) を代入すると、

    m1\(\large{\frac{F}{m_1+m_2}}\) = F - f

 ∴  f = F - m1 \(\large{\frac{F}{m_1+m_2}}\)

     = \(\large{\frac{(m_1+m_2)F\ }{m_1+m_2}}\) - m1 \(\large{\frac{F}{m_1+m_2}}\)

     = \(\large{\frac{(m_1+m_2)F\ -\ m_1 F}{m_1+m_2}}\)

     = \(\large{\frac{m_2}{m_1+m_2}}\) F  ……①

次に、物体Bだけに着目して考えてみます。

すると、物体Bについての運動方程式は、

    m2a = f

この式に上で求めた加速度 a = \(\large{\frac{F}{m_1+m_2}}\) を代入すると、

    m2\(\large{\frac{F}{m_1+m_2}}\) = f

 ∴  f = \(\large{\frac{m_2}{m_1+m_2}}\) F  ……②

①式と②式は同一です。物体Aについての運動方程式を立てても、物体Bについての運動方程式を立てても、同じ f の値が導き出されます。

この式を解釈しますと、

 m1 » m2 のときは、f がほぼ 0 になり、

 m1 « m2 のときは、f がほぼ F になるということがいえます。

ポイントをまとめますと

  • 物体が加速しているのなら、力のつり合いは成り立っておらず、力は1番目の物体を加速するために使われ、2番目の物体に伝わるまでに目減りする。
  • 作用・反作用の法則は、いかなるときも成り立っている。
  • 運動方程式は、全体をひとまとめにしたものと、各物体についてのものを立てる。