qG879

図1は、ある回路の中から一部分を書き出したものである。三つの抵抗の大ききは等しく R とする。点A、Bに流れ込む電流はそれぞれ IAIB であり、点Cから流れ出す電流は IC である。電流の流れる向きは図中に矢印で示した。

図 1

(問1)IAIBIC はどのような関係にあるか。正しいものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。

① \(\large{\frac{I_\rm{A}}{2}}\) + \(\large{\frac{I_\rm{B}}{2}}\) + IC = 0  ② \(\large{\frac{I_\rm{A}}{2}}\) + \(\large{\frac{I_\rm{B}}{2}}\) - IC = 0

IA + IB + IC = 0   ④ IA + IB - IC = 0

IA + IB + \(\large{\frac{I_\rm{C}}{2}}\) = 0   ⑥ IA + IB - \(\large{\frac{I_\rm{C}}{2}}\) = 0

(問2)図1の回路における点Bに対する点Aの電位はどのようになるか。正しいものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。

R(IA - IB)   ② R(IB - IA)

③ \(\large{\frac{R}{2}}\)(IA - IB)  ④ \(\large{\frac{R}{2}}\)(IB - IA)

⑤ \(\large{\frac{R}{3}}\)(IA - IB)  ⑥ \(\large{\frac{R}{3}}\)(IB - IA)

#センター04追試

(問1)
キルヒホッフの第1法則より、領域ABCに流れ込む電流の和 IA + IB が領域ABCから流れ出る電流の和 IC と等しくなっているはずだから、

    IA + IB = IC

 ∴  IA + IB - IC = 0

であり、答えは です。

 

(問2)
点Aから点Bへ流れる電流を I1 としますと、

点Aから点Cへ流れる電流は IA - I1 で、

点Bから点Cへ流れる電流は IB + I1 です。

閉回路ABCについてのキルヒホッフの第2法則の式を立てますと、

  RI1 + R(IB + I1) - R(IA - I1) = 0  ……➊

∴ 3RI1 + RIB - RIA = 0

∴ 3RI1 = RIA - RIB

∴ RI1 = \(\large{\frac{R}{3}}\)(IA - IB)

RI1 というのはまさに点Bに対する点Aの電位のことであるから、答えは ⑤ \(\large{\frac{R}{3}}\)(IA - IB) です。

 

「点Bに対する点Aの電位」というのは、点Bから見た点Aの電位、という意味です(『相対速度』項参照)。点Bを基準としたBA間の電位差ということです。

もし、I1 の方向を、点Bから点Aの方向、と設定しますと、➊式は

    - RI1 + R(IB - I1) - R(IA + I1) = 0

となり、

    - RI1 = \(\large{\frac{R}{3}}\)(IA - IB)

 ∴  RI1 = \(\large{\frac{R}{3}}\)(IB - IA)

となります。

そうしますと、IB の方が IA より大きいとき、RI1 が正になってしまい、つまり、点Bより点Aの方が電位が高いということになり、電流が点Bから点Aに流れることと矛盾してしまいます。ですから、正負を直して、

    RI1 = \(\large{\frac{R}{3}}\)(IA - IB)

としなければなりません。

 

(検算)
IA = 9[A] 、IB = 6[A] 、R = 1[Ω] として検算してみますと、

  RI1 = \(\large{\frac{R}{3}}\)(IA - IB) = \(\large{\frac{1}{3}}\)(9 - 6) = 1[V]

∴ I1 = 1[A]

  IA - I1 = 9 - 1 = 8[A] (点Aから点Cへは 8V 降下)

  IB + I1 = 6 + 1 = 7[A] (点Bから点Cへは 7V 降下)

  IC = IA + IB = 9 + 6 = 15[A]

…矛盾無し!

 

IA = 6[A] 、IB = 9[A] 、R = 1[Ω] として検算してみますと、

  RI1 = \(\large{\frac{R}{3}}\)(IA - IB) = \(\large{\frac{1}{3}}\)(6 - 9) = - 1[V]

∴ I1 = - 1[A]

  IA - I1 = 6 + 1 = 7[A] (点Aから点Cへは 7V 降下)

  IB + I1 = 9 - 1 = 8[A] (点Bから点Cへは 8V 降下)

  IC = IA + IB = 6 + 9 = 15[A]

…矛盾無し!( I1 が下向き設定で負、ということは上向きということです)

 

もし RI1 = \(\large{\frac{R}{3}}\)(IB - IA) であった場合は矛盾が発生してしまいます。