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水平な床に質量 m の物体が置かれている。図4のように、物体に棒を取り付け、棒と床のなす角度を θ として、棒の方向に力を加えた。力の大きさを徐々に大きくしていったところ、その大きさが F を超えたとき物体が動き始めた。F はいくらか。ただし、棒の質量は無視できるものとし、物体と床の間の静止摩擦係数を μ 、重力加速度の大きさを g とする。

図 4

#センター08追試

F の方向は棒の方向であり斜め方向です。鉛直方向と水平方向に分解すると、

  鉛直方向:Fsinθ
  水平方向:Fcosθ

垂直抗力 N の大きさは

    N = Fsinθ + mg

よって、最大静止摩擦力f とすると

    f = μN = μ(Fsinθ + mg)

物体が動き出す瞬間は Fcosθ と最大静止摩擦力 f が同じ大きさとなっているから Fcosθ < f の間は動かず、
Fcosθ > f となると動きます。
徐々に大きくしていって動き出す瞬間というのは
Fcosθ = f となる瞬間です。

    Fcosθ = f

 ⇔  Fcosθ = μ(Fsinθ + mg)

 ∴  Fcosθ - μFsinθ = mgμ

 ∴  F(cosθ - μsinθ) = mgμ

 ∴  F = \(\large{\frac{mgμ}{\cosθ - μ\sinθ}}\)

 

(余談)
θ が大きいと、cosθ が小さくなり sinθ が大きくなるので、分母が小さくなり、F は大きくなります。棒の角度が立っているときほど、大きい力が必要ということです。θ の値によっては分母が 0 に近くなり、F がとてつもなく大きくなってしまいます。これは、いくら力を入れても動かないということです。