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図1のように、自然の長さ \(l\) のゴムひもの一端を天井の点Aに固定し、他端に質量 \(m\) の小球をつけた。この小球を点Aまで持ち上げ、その点から静かに放すと自由落下を始めた。ゴムひもの弾性力は、ゴムひもが自然の長さ \(l\) から伸びた場合にのみはたらくものとする。この弾性力の大きさは自然の長さ \(l\) からの伸びに比例するものとし、その比例定数を \(k\) とする。ただし、空気の抵抗やゴムひもの質量は無視できるものとし、重力加速度の大きさを \(g\) とする。

図 1

(問1)小球を静かに放してから、小球が点Aから自然の長さ \(l\) だけ下の位置を最初に通過するまでの時間 \(t\) を式で表せ。

(問2)小球が最下点に達したとき、ゴムひもの長さは \(h\) であった。小球の質量 \(m\) を式で表せ。

#センター20本試物理基礎

(問1)
点Aから自然の長さ \(l\) だけ下の位置を最初に通過するまでは小球はゴムの影響をまったく受けません。小球の運動は単なる自由落下運動です。自由落下運動の変位の式を立てて \(t\) を求めますと、

   \(l = {\large\frac{1}{2}}gt^2\)

 ∴ \({\large\frac{2l}{g}} = t^2\)

 ∴  \(t = \sqrt{\frac{2l}{g}}\)

 

 

(問2)
空気抵抗が無く、小球にはたらく力が弾性力と重力だけであり、この2つは保存力であるので、力学的エネルギー保存の法則が成り立ちます。

点Aでの力学的エネルギー 最下点を位置エネルギーの基準とすると、

点Aでの位置エネルギーは \(mgh\)

運動エネルギーは \({\large\frac{1}{2}}m・0^2\)

弾性エネルギーは \({\large\frac{1}{2}}k・0^2\)

これら3つを合わせた力学的エネルギーは \(mgh\) ……①

最下点での力学的エネルギー

最下点での位置エネルギーは \(mg・0\)

運動エネルギーは \({\large\frac{1}{2}}m・0^2\)

弾性エネルギーは \({\large\frac{1}{2}}k・(h-l)^2\)

これら3つを合わせた力学的エネルギーは \({\large\frac{1}{2}}k・(h-l)^2\) ……②

力学的エネルギー保存の法則より点Aでの力学的エネルギー①と最下点での力学的エネルギー②は等しいから

   \(mgh ={\large\frac{1}{2}}k・(h-l)^2\)

 ∴  \(m ={\large\frac{k(h-l)^2}{2gh}}\)

 

 

(余談:自然の長さ \(l\) の位置での力学的エネルギー)
まず別の力学的エネルギー保存の法則の式を立てて自然の長さ \(l\) の位置での小球の速さ(いったん \(v\) と置く)を求めますと、

   \(mgl = {\large\frac{1}{2}}m・v^2\)

 ∴ \(gl = {\large\frac{1}{2}}v^2\)

 ∴ \(v = \sqrt{2gl}\)

自然の長さ \(l\) の位置での力学的エネルギー

位置エネルギーは \(mg・(h-l)\)

運動エネルギーは \({\large\frac{1}{2}}m・v^2 = {\large\frac{1}{2}}m・2gl = mgl\)

弾性エネルギーは \({\large\frac{1}{2}}k・0^2\)

これら3つを合わせた力学的エネルギーは \(mg・(h-l) + mgl + 0 = mgh\)

となり、①と同じになります。(あたりまえですが)