水平な実験台の上で、台車の加速度運動を調べる実験を、2通りの方法で行った。
まず、記録タイマーを使った方法では、図1のように、台車に記録タイマーに通した記録テープを取りつけ、反対側に軽くて伸びないひもを取りつけて、軽くてなめらかに回転できる滑車を通しておもりをつり下げた。このおもりを落下させ、台車を加速させた。ただし、記録テープも記録タイマーも台車の運動には影響しないものとする。
図2のように、得られた記録テープの上に定規を重ねて置いた。この記録タイマーは毎秒60回打点する。記録テープには6打点ごとの点の位置に線が引いてある。
(問1)図2の線Aから線Bまでの台車の平均の速さ \(\bar{v}_\rm{AB}\) はいくらか。次の式の空欄13に入れる数値として最も適当なものを、下の①~⑥のうちから一つ選べ。
\(\bar{v}_\rm{AB}\) = 13m/s
① 0.017 ② 0.026 ③ 0.17 ④ 0.26 ⑤ 1.7 ⑥ 2.6
(問2)速度と時間のグラフ(\(v\)-\(t\)グラフ)を作ると、傾きが一定になっていた。この傾きから加速度を計算すると、0.72m/s2 となった。質量が 0.50kg の台車を引くひもの張力 \(T\) はいくらか。次の式中の空欄14~16に入れる数字として最も適当なものを、下の①~⓪のうちから一つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。
\(T\) = 14.1516N
① 1 ② 2 ③ 3 ④ 4 ⑤ 5 ⑥ 6 ⑦ 7 ⑧ 8 ⑨ 9 ⓪ 0
次に、台車から記録テープを取りはずし、図3のように加速度測定機能のついたスマートフォンを台車に固定し、加速度を測定した。
測定を開始してからおもりを落下させ、台車がストッパーによって停止したことを確認して測定を終了した。
スマートフォンには図4のような画面が表示された。図4は縦軸が加速度、横軸が時間である。ただし、スマートフォンは台車の進む向きを正とした加速度を測定している。また、台車が停止する直前の加速度はグラフの表示範囲を超えていた。
(問3)測定したデータにはわずかな乱れが含まれているが、走行中の台車は等加速度運動をしているものとする。測定結果を見ると、加速度は記録テープによる測定値 0.72m/s2 より小さい 0.60m/s2 であることがわかった。加速度が小さくなった理由として最も適当な文を、次の①~④のうちから一つ選べ。
① スマートフォンの質量が、おもりと比べて小さかったから。
② スマートフォンの分だけ、全体の質量が大きくなったから。
③ スマートフォンをのせたので、摩擦力が小さくなったから。
④ スマートフォンをのせても、糸の張力が変わらなかったから。
(問4)図4から等加速度運動をしている時間を読み取り、加速度の値 0.60m/s2 を用いると、台車がストッパーに接触する直前の速さ \(v_1\) を求めることができる。\(v_1\) はいくらか。次の式の空欄18に入れる数値として最も適当なものを、下の①~④のうちから一つ選べ。
\(v_1\) = 18m/s
① 0.40 ② 1.0 ③ 1.6 ④2.2
(問5)qO3F9
#共テ21本試物理基礎
(問1)1打点ごとに速さは変わっていますが、聞かれているのは平均の速さなので、その間に進んだ距離をその間の時間で割れば導き出せます。線Aから線Bまでの距離は図から読み取ると約2.6cmで、線Aから線Bまで掛かった時間は、毎秒60回打点するものが6回打点したわけだから、0.1秒。ということで約2.6cmを0.1秒で割ると、答えは ④ 0.26 m/s です。
(問2)ひもの張力 \(T\) は台車を動かす力そのものであり、台車に関する運動方程式(\(ma=F\))を立てますと、
0.50 × 0.72 = \(T\)
∴ \(T\) = 0.36 [N]
答えは ⓪ 0 . ③ 3 ⑥ 6 です。
(問3)答えは ② です。
運動方程式によれば (質量)×(加速度)=(力) の関係がありますが、右辺の力は変わっておらず(おもりに変更はないので張力は同じ)、左辺の加速度が小さくなっています。それは質量が大きくなったからです。台車の上にスマートフォンが載ったからです。加速度が \({\large\frac{0.60}{0.72}}\)倍 になったので質量は 1.2倍 になってます。
(問4)グラフから読み取ると加速している時間は 約1.7秒間 です。始めは速さが 0 で、その後 約1.7秒間、0.60m/s2 で加速したのだから
\(v_1\) ≒ 0.60 × 1.7 = 1.02 [m/s]
選択肢の中で最も近いのは ② 1.0 です。