次の文章は、演劇部の公演の一場面を記述したものである。王女の発言は科学的に正しいが、細工師の発言は正しいとは限らないとして、後の問い(問1~3)に答えよ。
王女役と細工師役が、図1のスプーンAとスプーンBについての言い争いを演じている。
王女:ここに純金製のスプーン(スプーンA)と、あなたが作ったスプーン(スプーンB)があります。どちらも質量は 100.0g ですが、色が少し異なっているように見え、スプーンBは純金に銀が混ぜられているという噂があります。
細工師:いえいえ、スプーンBは純金製です。純金製ではないという証拠を見せてください。
王女は、スプーンBが純金製か、銀が混ぜられたものかを判別するために、スプーンAとBの物理的な性質を実験で調べることにした。
(問1)
次の文章中の空欄10~12に入れる語句として最も適当なものを、それぞれの直後の{ }で囲んだ選択肢のうちから一つずつ選べ。
王女はスプーンAとスプーンBの比熱(比熱容量)を比較するために次の実験を行った。スプーンAとスプーンBを温度 60.0℃ にして、それぞれを温度 20.0℃ の水 200.0g に入れたところ、以下の温度で熱平衡になった。ただし、熱のやりとりはスプーンと水の間だけで行われるとする。
王女:この結果からスプーンAとスプーンBの比熱は異なっており、スプーンBの方が比熱が10{ ① 大きい ② 小さい }ことがわかります。ですから、スプーンBは純金製ではありません!
細工師:いえいえ、この実験で温度の違いが 0.1℃ というのは、同じ温度のようなものです。どちらも純金製ですよ。
細工師の主張に対して、もしこの実験における水の量を11{ ① 2倍 ② 半分 }にしていれば、あるいは、水に入れる前のスプーンと水の温度差を12{ ① 大きく ② 小さく }していれば、実験結果の温度の違いをより大きくできたであろう。しかし、王女はそこまでは気が付かなかった。
(問2)qO4O8
(問3)qO4O9
#共テ22本試物理基礎
(問1)
60℃ からの変化量が小さかったのはスプーンBの方だから、スプーンBの方が熱を蓄えやすいということであり、比熱が10 ① 大きい ということです。
また、
水が多い場合は水の影響が大きいだろうし、
水が少ない場合はスプーンの影響が大きいはずなので、
双方が熱平衡に達したときの温度差は、水の量を11 ② 半分 にしたときの方が大きいです。(スプーンの影響が出やすい)
そして、
スプーンと水の温度差が小さいときと、
大きいときとを比べれば、
熱平衡に達したときのスプーンA側とスプーンB側の温度差が大きいのは、スプーンと水の温度差が大きいとき、であろうから、12の答えは ① 大きく です。(たとえば上図だったら 20.05℃ と 20.06℃ というような差しか出ず、下図だったら 25.0℃ と 26.0℃ というような差が出たりする)