次の文章は、演劇部の公演の一場面を記述したものである。王女の発言は科学的に正しいが、細工師の発言は正しいとは限らないとして、後の問い(問1~3)に答えよ。
王女役と細工師役が、図1のスプーンAとスプーンBについての言い争いを演じている。
王女:ここに純金製のスプーン(スプーンA)と、あなたが作ったスプーン(スプーンB)があります。どちらも質量は 100.0g ですが、色が少し異なっているように見え、スプーンBは純金に銀が混ぜられているという噂があります。
細工師:いえいえ、スプーンBは純金製です。純金製ではないという証拠を見せてください。
王女は、スプーンBが純金製か、銀が混ぜられたものかを判別するために、スプーンAとBの物理的な性質を実験で調べることにした。
(問1)qO4O7
(問2)qO4O8
(問3)
次の文章中の空欄16・17に入れるものとして最も適当なものを、直後の{ }で囲んだ選択肢のうちから一つずつ選べ。
王女:ならば、スプーンAとスプーンBの電気抵抗 \(R\) を測定して、さらにはっきりと判別してみせましょう。
王女はスプーンAから針金Aを、スプーンBから針金Bを、形状がいずれも
断面積 \(S\) = 2.0×10-8 m2 長さ \(l\) = 1.0 m
となるように作製した。この針金の両端に電極をとりつけ、両端の電圧 \(V\) と流れた電流 \(I\) の関係を調べた。破線を針金A、実線を針金Bとして、その実験結果を図3に示す。
王女:図3の結果を見てみなさい。針金Aと針金Bの電気抵抗はまったく違います。この結果から、針金Bの電気抵抗 \(R\) はおよそ16{ ① 4.1×10-1Ω ② 2.4Ω ③ 4.1Ω ④ 2.4×101Ω }であることがわかります。また、その抵抗率 \(ρ\) を、\(ρ\) と \(R\) の間の関係式17{ ① \(ρ = \large\frac{1}{R}\large\frac{l}{S}\) ② \(ρ = \large\frac{1}{R}\large\frac{S}{l}\) ③ \(ρ = R\large\frac{l}{S}\) ④ \(ρ = R\large\frac{S}{l}\) }を用いて求めると、その値は資料集に記載された金の抵抗率と明らかに違うことがわかります。一方、針金Aの抵抗率を計算すると金の抵抗率と一致します。ですから、針金Bは純金製ではありません!
細工師があわてて逃げ出したところで幕が下りた。
#共テ22本試物理基礎
(問3)
図3のグラフを見ると 0.4V のときに 0.1A弱 となっています。オームの法則より抵抗は電圧を電流で割ったものだから、抵抗の値は 4.0Ω強 です。16の答えは ③ 4.1Ω です。
電気抵抗は抵抗率を用いて
\(R = ρ\large\frac{l}{S}\)
と表せますので17の答えは ④ \(ρ = R\large\frac{S}{l}\) です。
(ちなみに)
問題文中の断面積や長さの値は解答を導き出すのには使われませんが、針金Aの抵抗値(グラフから読み取ってだいたい 1.1Ω)とともに
\(ρ = 1.1{\large\frac{2.0 × 10^{-8}}{1.0}}\) = 2.2×10-8 [Ω・m]
となり、実際の金の抵抗率に近い値になります。