図1はスピーカーの基本構造を示している。永久磁石の近くに置かれたコイルにリード線を介して電流を流すと、コイルが磁場(磁界)から力を受け、コイルに結合したコーン紙が運動する。これを参考にして、スピーカーのはたらきについての記述として誤っているものを、下の①~⑤のうちから一つ選べ。
① 周波数 f の交流電流をコイルに流すと、振動数 f の音波が発生する。
② 磁石の極性を逆転すると、コイルに交流電流を流しても音は出ない。
③ 音波がコーン紙を振動させると、電磁誘導によりコイル両端に電圧が生じるので、マイクロフォンとしても使える。
④ コイルに流す交流電流の大きさを増やすと、音が大きくなる。
⑤ コイルに一定の直流電流が流れ続けている間は、音は出ない。
#センター08追試
コイルに電流を流すと磁場から力を受けます。
この電流を増減すると、受ける力も増減します。つまり振動します。コーン紙
コーン紙のコーンは
とうもろこしの corn ではなく
円錐の cone です。
コーン というより コウン です。
が振動し、空気分子を揺らします。つまり音が出ます。
これがスピーカーの原理です。
周波数 f の交流電流をコイルに流せば、コーン紙も周波数(振動数)f で揺れます。(① ○)
磁石のN極とS極を入れ替えてもコイルが揺れることには変わりありません。(② ×)。また、電流の向きを変えても揺れることには変わりありません。
電流を一定にしておいて、コーン紙を揺らすと、磁石とコイルの位置が変化するので電磁誘導が起こり、一定だったはずの電流が変化します。電気信号が生じるのです。これがマイクロフォンの原理です。知らない人には意外かもしれませんが、スピーカーはマイクロフォンにもなるのです。逆にマイクロフォンもスピーカーになりえます。モーターと発電機の関係と一緒です。(③ ○)
例えば、左図のような装置を作ると、これは電話機になります。一方のコーン紙に音を当てると他方のコーン紙から音が出ます。
このとき、両方のコーン紙に同じ大きさの同じ音を当てると、
電流の増減が無くなり一定となります。打ち消し合うのです。
電気信号が 0 となるのです。
これが、ウォークマンやiPhone等に付いているノイズキャンセリング機能の原理です。
コイルに流す交流電流の大きさを増やせば、振動の大きさは大きくなり、大きな音が出ます
交流電流の大きさを増やすというのは、
電流の揺れる振幅を大きくするということです。
。(④ ○)
コイルに一定の直流電流が流れ続けている間は、音は出ません。電流は磁場から力を受けるので、コイルに力が加わりますが、それが一定であればコイルは揺れません。コイルを支える枠に力が加わるでしょうが、一定の力で押し付けているだけで、揺れません。(⑤ ○)