次の文章中の空欄ア・イに入る式を答えよ。
図2のように、質量 m の物体があらい水平な台の上に置かれている。台を水平方向に振幅 A 、角振動数 ω で単振動させるとき、台に乗った観測者からみて、物体にはたらく慣性力の大きさの最大値 F1 はアである。角振動数 ω を 0 からゆっくり増大させると、F1 の値がイを超えたときに、物体は滑り始める。ただし、物体と台の間の静止摩擦係数を μ 、動摩擦係数を μ' 、重力加速度の大きさを g とし、物体の底面は常に台に接しているものとする。
#センター15本試物理
ア
振幅が A で角振動数が ω ということなので、台は
a = - Aω2sinωt
という加速度で単振動していることになります。
この台に結びついているものも、この加速度で運動させられることになりますが、この加速度の最大値は
a = Aω2
です。sinωt の最小値が -1 で最大値が 1 だからです。
-1 ≦ sinθ ≦ 1
です。
数学の教科書で確認してください。
この値は台が右端に達したとき、あるいは左端に達したときの加速度です。
右向きを正と定義したのなら、台が左端に達したとき、
左向きを正と定義したのなら、台が右端に達したとき、です。
(速度に関しては最大値をとるのは中央を通過するときです。加速度の場合は端っこです。)
というわけで、台が端に達したときの加速度が最大であり、そのときに物体に掛かる力(慣性力)は
F1 = m×a = mAω2
です。
(中央を通過するときは加速度が 0 であり、慣性力も 0 です。台の加速度は刻々と変わるので慣性力も刻々と変わります。)
イ
たとえば、台が右端に達したとき、物体は右向きに mAω2 の慣性力を受けますが、滑り出さずにとどまっているときというのは、摩擦力によって反対向きの力を加えられているのでとどまっているのです。
この摩擦力は動摩擦力ではなく、静止摩擦力です。台から見て物体は静止しているからです。
静止摩擦力が最大となるときの力(最大静止摩擦力)の大きさは(静止摩擦係数 μ に垂直抗力 mg を掛けて)
μmg
です。これよりも mAω2 の方が大きくなると物体は滑り出します。