qGBNE

密度 ρ 、体積 V の液体を入れた容器が、台ばかりにのっている。図2のように、密度 ρ' 、体積 V' の球(ρ' > ρ)を細いひもで上からつって、液体中で静止させた。このとき、はかりが示す力について考えよう。ただし、容器の質量は無視できるものとし、重力加速度の大きさを g とする。

図 2

(問4)はかりが示す力の大きさはいくらか。

(問5)次にひもを切り離すと球は下降していき、容器の底に達して静止した。静止後にはかりが示す力の大きさはいくらか。

#センター08追試

(問4)
もし、液体と球が別々に存在するとしますと、液体には ρVg の重力が掛かり、球には ρ'V'g の重力が掛かり、

台ばかりは ρVg の力で支え、ひもは ρ'V'g の張力で上に引っ張っていることになります。

液体と球が一緒になった場合でも、液体と球の合計の重さは変わらず ρVg + ρ'V'g であり、こららを支える力の合計も(上向きで)ρVg + ρ'V'g です。

しかし、このとき浮力がはたらきますので、ひもの負担はその分、軽減されます。浮力がはたらくということは反作用の力が下向きにはたらくということでもあり、台ばかりの負担はその分、増加します。

球にはたらく浮力の大きさは

    ρV'g

です。(ρVg でも ρ'V'g でもなく ρV'g です。本編の解説をよくお読みください。)

ひもの負担は ρ'V'g から ρ'V'g - ρV'g へと軽減され、

台ばかりの負担は ρVg から ρVg + ρV'g へと増加します。

ひもと台ばかりを合わせたトータルの負担は変化しません。

答えは ρVg + ρV'g = ρ(V + V')g です。

 

(余談)
この問題は、
左図のように、物体の上にバネを載せて(バネの質量は無いものとする)、そのまた上に物体を載せて、ひもでつり下げたのと同じようなものです。バネによって、ひもの負担が軽減され、台ばかりの負担が増加します。軽減された分と増加した分は大きさが同じです。

違いは、この場合はひもの張力をさじ加減で決めることができることです。バネが自然長の長さになるくらい強く引っ張ることもできますし、全く引っ張らずにひもをたるませることもできます。上の問題では、浮力の大きさは決まっていて、球を静止させるためには張力の大きさも決まってしまいます。

 

 

(問5)
球が底に達して静止しても浮力ははたらき続けます。同時にその反作用もはたらき続けます。しかしこの2つの力は相殺され、無いのと同然になります。ひもが切り離されれば液体と球の合計の重さ ρVg + ρ'V'g は全て台ばかりに掛かります。トータルの負担は常に ρVg + ρ'V'g です。ひもが無くなれば台ばかりだけでこれを負担することになります 上のバネの例を想像すると分かりやすいかもしれません。
 ひもが切れれば
2つの物体の重さは台ばかりのみに掛かります。
。ひもがあれば浮力は意味をなしますが、ひもが無ければ、台ばかりにとって浮力は無意味です。このような場合の浮力や反作用の力を「内力」といいます。ひもがつながっているときは内力とはいいません。外界に影響を与えるからです。

答えは ρVg + ρ'V'g = (ρV + ρ'V')g です。