空気中で、質量 m の物体を静かに放し、落下させた。物体は速さ v に比例する大きさ kv の抵抗力を受けるものとする。重力加速度の大きさを g とし、鉛直下向きを加速度の正の向きとする。また、k は比例定数である。
(問1)物体の加速度を a として、物体の運動方程式と、十分に長い時間が経過し速度が一定になったときの速さ vf を表す式の組合せとして正しいものを、次の①~⑨のうちから一つ選べ。
運動方程式 | vf | |
---|---|---|
① | ma = mg - kv | 0 |
② | ma = mg - kv | \(\large{\frac{k}{mg}}\) |
③ | ma = mg - kv | \(\large{\frac{mg}{k}}\) |
④ | ma = mg | 0 |
⑤ | ma = mg | \(\large{\frac{k}{mg}}\) |
⑥ | ma = mg | \(\large{\frac{mg}{k}}\) |
⑦ | ma = mg + kv | 0 |
⑧ | ma = mg + kv | \(\large{\frac{k}{mg}}\) |
⑨ | ma = mg + kv | \(\large{\frac{mg}{k}}\) |
(問2)物体の速さが vf になった後、空気の抵抗力が単位時間あたりに物体にする仕事の大きさはいくらか。正しいものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。
① kvf ② kvf2 ③ kvf3 ④ \(\large{\frac{1}{2}}\)kvf ⑤ \(\large{\frac{1}{2}}\)kvf2 ⑥ \(\large{\frac{1}{2}}\)kvf3
#センター16追試物理
(問1)
空気中を落下する物体には鉛直下向きの重力 mg と鉛直上向きの空気抵抗 kv がはたらき、運動方程式を立てますと、
ma = mg - kv
となります。
徐々に速さが増していき、上式右辺第二項が大きくなっていくと鉛直下向きの重力 mg と鉛直上向きの空気抵抗 kv はつり合い、右辺は 0 になり、左辺の加速度 a も 0 になります。等速になります。vf です。
このときの式は
m×0 = mg - kvf
∴ 0 = mg - kvf
∴ kvf = mg
∴ vf = \(\large{\frac{mg}{k}}\)
答えは ③ です。
(問2)
仕事とは力と距離を掛けたものです。空気の抵抗力がする仕事を W と置きます。
物体は vf の速さで進んでいますので時間 t の間に vf t だけ進みます。
空気の抵抗力の大きさは kvf であり、物体の進む方向と逆です。
よって仕事は
W = ( - kvf ) × vf t
です。
そして単位時間あたりの仕事を P と置きますと、これは仕事 W を時間 t で割ったものですから、
P = \(\large{\frac{W}{t}}\) = ( - kvf ) × vf = - kvf2
であり、問題は単位時間あたりにする仕事の"大きさ"を聞いているので、
答えは ② kvf2 です。
(暗算)
仕事が
W = fs (s は距離)
で、仕事率(単位時間あたりの仕事)が
P = fv
であることを知っていれば、暗算で kvf × vf = kvf2 と求められます。
(エネルギーについて整理)
・空気抵抗がする仕事 : - kvf2t
・重力がする仕事 : mgvf t
・物体の位置エネルギー : - mgvf t
・発生する摩擦熱 : mgvf t
mgvf t = kvf2t であり、上記の絶対値は全て同じです。