図2のように、なめらかな斜面をもつすべり台A、Bが水平な床に固定されている。すべり台Aの傾きは、すべり台Bの傾きより小さい。すべり台A、Bの同じ高さの位置から、それぞれ小物体1、2を静かに放すと、二つの小物体は斜面をすべり落ちた。ただし、二つの小物体の質量は等しいものとする。
(問3)二つの小物体が斜面上をすべり落ちている間、小物体1、2が斜面から受ける垂直抗力の大きさを、それぞれ \(N_1\)、\(N_2\) とする。また、小物体1、2が斜面上をすべり始めてから水平な床に達するまでの時間を、それぞれ \(t_1\)、\(t_2\) とする。それらの大小関係の組合せとして正しいものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。
\(N_1\)、\(N_2\) の大小関係 | \(t_1\)、\(t_2\) の大小関係 | |
---|---|---|
① | \(N_1 > N_2\) | \(t_1 > t_2\) |
② | \(N_1 > N_2\) | \(t_1 = t_2\) |
③ | \(N_1 > N_2\) | \(t_1 < t_2\) |
④ | \(N_1 < N_2\) | \(t_1 > t_2\) |
⑤ | \(N_1 < N_2\) | \(t_1 = t_2\) |
⑥ | \(N_1 < N_2\) | \(t_1 < t_2\) |
(問4)次の文章中の空欄ア・イに入れる語句と式の組合せとして最も適当なものを、下の①~⑥のうちから一つ選べ。
小物体がすべり始めてから水平な床に達するまでの間、斜面から受ける垂直抗力は小物体にア。この間に、重力が小物体1、2にする仕事をそれぞれ \(W_1\)、\(W_2\) とすると、その大小関係はイとなる。
ア | イ | |
---|---|---|
① | 仕事をする | \(W_1 > W_2\) |
② | 仕事をする | \(W_1 = W_2\) |
③ | 仕事をする | \(W_1 < W_2\) |
④ | 仕事をしない | \(W_1 > W_2\) |
⑤ | 仕事をしない | \(W_1 = W_2\) |
⑥ | 仕事をしない | \(W_1 < W_2\) |
#センター19本試物理基礎
(問3)
物体に掛かる重力は運動方向(斜面方向)と運動方向と垂直な方向に分解でき、
垂直抗力というのは運動方向と垂直な方向の力と向きが逆で大きさが同じです。
勾配が急になるほど垂直抗力は小さくなります。 \(N_1 > N_2\) です。
小物体を斜面に沿ってすべり落そうとする力は勾配が急になるほど大きくなります。勾配が急になるほどストンと勢いよく落ちていきます。 \(t_1 > t_2\) です。そもそも勾配が急になるほど斜面の長さが短くなります。
答えは ① です。
(問4)
垂直抗力は小物体の運動する方向に対して垂直なので 仕事をしません 。
また、仕事の原理(あるいは力学的エネルギー保存の法則 斜面のどの地点にいようと小物体の力学的エネルギーは \(mgh\) です )により、 \(W_1 = W_2\) です。(もちろん摩擦がある場合はこうなりません)
答えは ⑤ です。