qH3DE

J字形をした断面積一定の管があり、管の壁は熱をよく通す。大気圧 p0 の下で、その管に液体を注入し、図4(a)に示すように、管の上端の一方をふたでふさいだ。このとき、ふたにより閉じ込められた気体の圧力は p0 、温度は T0 、鉛直方向の長さは l0 であった。この状態を状態Aとする。ただし、液体の密度を ρ 、重力加速度の大きさを g とする。また、液体の蒸発は無視できるとし、大気圧 p0 、液体の密度 ρ は常に一定であるとする。

図 4

(問5)さらに液体を注いだところ、液面が上昇し、図4(b)のように、気体部分の長さが l1 、液面の高さの差が h になった。温度は T0 のまま変わらなかった。この状態を状態Bとする。状態Bの気体の圧力 p1 を式で表せ。

(問6)\(\large{\frac{p_1}{p_0}}\)を表す式として正しいものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。

① \(\large{\frac{l_0}{h}}\)  ② \(\large{\frac{l_0}{l_1}}\)  ③ \(\large{\frac{h}{l_1}}\)  ④ \(\large{\frac{h}{l_0}}\)  ⑤ \(\large{\frac{l_1}{l_0}}\)  ⑥ \(\large{\frac{l_1}{h}}\)  

(問7)しばらくして外気温が変化し、液面の高さが変わったので、高さの差が状態Bと同じ h になるように液体の量を調整した。その結果、図4(C)のような状態Cになった。このとき、気体の温度は外気温と同じT1 であった。状態Cの気体部分の長さ l2l1 を用いて表す式として正しいものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。

① \(\large{\frac{T_0}{T_1}}\)l1  ② \(\large{\frac{T_1}{T_0}}\)l1  ③ \(\large{\frac{T_0}{T_1-T_0}}\)l1  ④ \(\large{\frac{T_1-T_0}{T_0}}\)l1  ⑤ \(\large{\frac{T_1}{T_1-T_0}}\)l1  ⑥ \(\large{\frac{T_1-T_0}{T_1}}\)l1  

#センター14本試

(問5)
圧力 p1 というのは左図の水色部分の圧力のことであり(本問においては、気体に関してはその圧力は高さに依らず、液体に関してはその圧力は高さに依る、ということが前提になっています)、その圧力は

左図の水色地点の圧力のことであり、

左図の水色地点の圧力のことでもあります。

この地点の流体の圧力p = p0 + ρhg)は

  p1 = p0 + ρhg

上式には T0 の文字が含まれていませんが、T0 の要素は h の中に含まれています。温度が高いときは h も大きくなります。

 

 

(問6)
管の断面積の大きさを S とおいて、ボイル⋅シャルルの法則の式(\(\large{\frac{p_1V_1}{T_1}}\) = \(\large{\frac{p_2V_2}{T_2}}\))を立てますと、

  \(\large{\frac{p_0l_0S}{T_0}}\) = \(\large{\frac{p_1l_1S}{T_0}}\)

∴ p0l0 = p1l1

∴  \(\large{\frac{p_1}{p_0}}\) = \(\large{\frac{l_0}{l_1}}\)

答えはです。

(暗算で導き出す場合は、温度と断面積が共通であれば圧力の比は高さの逆比、と考えます。)

 

 

(問7)
閉じ込められた気体の圧力を p2 としますと、問5と同じように考えて、

  p2 = p0 + ρhg

となります。p1 と同じになるということです。p1 = p2 なのです。これはどういうことかといいますと、閉じ込められた気体の圧力は h のみによって決まるということです。高さ l や温度 T が変化したとしても、h が決まれば圧力 p は確定するということです。h は圧力計の目盛りのはたらきをします。

ボイル⋅シャルルの法則の式(\(\large{\frac{p_1V_1}{T_1}}\) = \(\large{\frac{p_2V_2}{T_2}}\))を立てますと、

    \(\large{\frac{p_1l_1S}{T_0}}\) = \(\large{\frac{p_1l_2S}{T_1}}\)

 ∴  \(\large{\frac{l_1}{T_0}}\) = \(\large{\frac{l_2}{T_1}}\)

 ∴   l2 = \(\large{\frac{T_1}{T_0}}\)l1

答えはです。

(暗算で導き出す場合は、圧力と断面積が共通であれば高さの比は温度の比、と考えます。)