水面波の干渉について考える。図2のように、水路に仕切り板をおき、水路に沿った方向に小さく振動させたところ、仕切り板の両側において周期 T で互いに逆位相の水面波が発生した。二つの水面波は、水路を伝わった後、出口Aと出口Bから広がって水路の外で干渉した。水面波の速さは、水路の中と外で等しく、v であるとする。また、水路の幅の影響は無視してよい。
(問3)はじめ、仕切り板の振動の中心は、出口Aまでの経路の長さと出口Bまでの経路の長さが等しくなる位置にあった。出口Aおよび出口Bから観測点までの距離をそれぞれ lA 、 lB とするとき、干渉によって水面波が強めあう条件を m を使って式で表わせ。ただし、m = 0, 1, 2, … である。
(問4)次に、仕切り板の振動の中心位置を水路に沿って d だけずらしたところ、問3の状況において二つの水面波が強めあっていた場所が、弱めあう場所となった。d の最小値はいくらか。
#センター15本試物理Ⅰ #センター15本試物理
(問3)
2つの波源から出た波の干渉条件は
強め合う条件 | l1 - l2 | = mλ
弱め合う条件 | l1 - l2 | = (m+\(\large{\frac{1}{2}}\)) λ
でありますが、これは波源が同位相の場合であって、逆位相の場合は条件が逆転します。つまり、強め合う条件は
| l1 - l2 | = (m+\(\large{\frac{1}{2}}\)) λ
です。本問では λ は与えられていませんが、λ = vT
波の基本式
f = \(\large{\frac{1}{T}}\)
v = f λ
より
λ = vT
であるので、上式に本問で与えられた量を当てはめますと、
| lA - lB | = (m+\(\large{\frac{1}{2}}\))vT ……①
(問4)
仕切り板を d だけずらすと、どちらかの経路が d だけ伸びて、もう片方の経路が d だけ短くなりますから、経路差は 2d だけ増えます。最小の d を d' とすると増える経路差は 2d' です。
一方、干渉条件というものは、強め合う条件に半波長 \(\large{\frac{λ}{2}}\) を足したら弱め合う条件となり、弱め合う条件に半波長 \(\large{\frac{λ}{2}}\) を足したら強め合う条件になる、という関係にあります。
つまり、増加分の経路差 2d' は半波長 \(\large{\frac{λ}{2}}\) の大きさになっているはずです。
すなわち、
2d' = \(\large{\frac{λ}{2}}\) λ = vT を代入して
∴ 2d' = \(\large{\frac{vT}{2}}\)
∴ d' = \(\large{\frac{vT}{4}}\)
(イメージ図)
(問3の状況のイメージ図)
出口Aと出口Bでは逆位相になっていて、
観測点では同位相になっています。
左図は赤経路と青経路の経路差が \(\large{\frac{λ}{2}}\) の場面です。
(静止画)
(問4の状況のイメージ図)
出口Aと出口Bでは同位相になっていて、
観測点では逆位相になっています。
左図は赤経路と青経路の経路差が λ の場面です。
(静止画)
(問3の状況と問4の状況の比較)
(静止画)