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質量 m の一様な棒の一端が水平な床にちょうつがいで固定されている。この棒の他端に付けた糸を定滑車にかけて質量 M のおもりを付けたところ、図3の状態で静止した。質量 Mm を用いて表しなさい。ただし、ちょうつがいはなめらかに回転し、その大きさは無視できるものとする。また、重力加速度の大きさを g とする。

図 3

#センター07本試

「静止」とあるのでこれは力のつり合いの問題です。その中でも回転力のつり合いです。回転力というのは力のモーメントのことです。この問題は力のモーメントのつり合いの話です。

棒にはたらく力は左図の3つです。

ちゅうつがいから受ける力は大きさや向きがよく分かりません。

糸の張力なら分かります。

それは Mg です。張力というのはピンと張った糸のどの部分でも同じで、なおかつ、おもりは静止しているので力がつり合っています。つまり糸の張力はどこもかしこも Mg です。

というわけで3つの力のうち2つが分かったので力のモーメントのつり合いの式を立てることができます。ちょうつがいの位置を回転の中心とみなせばちょうつがいの力は考えなくて済みます。「腕の長さ」が 0 である力は考える必要はありません。力のモーメントの中心はどこに設定してもいいのでそのようにします。mg と張力の2つの力だけを考えます。

もし棒の中心を回転の中心と設定するなら、考える力は「ちょうつがいの力」と「張力」です。

棒の上部先端を回転の中心と設定するなら、考える力は「mg」と「ちょうつがいの力」です。

今回はちょうつがいの位置を回転の中心と設定して、「mg」と「張力」を考えます。

なお、

棒の重さ mg というのは、棒のあらゆる地点にはたらいている重力のことです。微細な各重力の合計です。それが棒の中心にはたらいているとみなしています。

各地点の力の影響力は回転の中心の位置によって変わってきますが、それでもやっぱりその平均は棒の中心に1つの力があるとみなした場合と同じです。

ですので、「mg」という力は棒の真ん中に1つだけはたらく力とみなして問題ありません。

それでは、「mg」と「張力」のうち、回転に関わる成分を抜き出してみましょう。

張力の垂直成分は Mgsin30° で、mg の垂直成分は mgcos30° です。

棒の長さを l としますと、mgcos30° までの距離は \(\large{\frac{l}{2}}\) です。

力のモーメントというのは (力の垂直成分)×(腕の長さ) ですから、力のモーメントのつり合いの式は

    Mgsin30°×l = mgcos30°×\(\large{\frac{l}{2}}\)

となりまして、

これを解きますと、

    Msin30° = \(\large{\frac{1}{2}}\)mcos30°

 ∴  M\(\large{\frac{1}{2}}\) = \(\large{\frac{1}{2}}\)m\(\large{\frac{\sqrt{3}}{2}}\)

 ∴  M = \(\large{\frac{\sqrt{3}}{2}}\)m

となります。