レンツの法則

レンツの法則

電磁誘導

左図のようにコイルと磁石を近づけたり遠ざけたりすると、コイルに電流が流れます。コイル内の磁場が変化すると、電流が流れるのです。

この現象を電磁誘導といい、生じた電圧を誘導起電力、流れた電流を誘導電流といいます。

(『電磁誘導』項もご参照ください)

このことは『電流がつくる磁場』項で説明したことと逆のようなものです。ただし磁場(=磁力線)があるだけで電流が流れる、というわけではなく、磁場が”変化”したときだけ電流が流れる、のです。

レンツの法則

このとき流れる誘導電流の向きには決まりがあります。

磁石のN極がコイルに近づいてくると、その磁力線(=N極から出てS極に入る)に抵抗するかのような新たな磁力線が発生します。この磁力線は磁石の動きを阻止しようとします。

左図の紫矢印の方向の磁力線を発生させるのは、右ねじの法則により、赤色矢印のような方向の電流です。

つまり、磁石のN極がコイルに近づいてくると、左図のような電流が発生するのです。

磁石のN極がコイルから遠ざかる場合は、右向きの磁力線が減っていくのでそれに抵抗して右向きの磁力線が発生し、右ねじの法則により左図のような電流が流れます。発生した磁力線は磁石が遠くへ行ってしまわないように抵抗します。

磁石のS極が近づく場合は、左向きの磁力線が増加するのでそれに抵抗して右向きの磁力線が発生し、左図のような電流が流れます。これはN極が遠ざかる場合と同じです。

(S極が近づいてくるのを防ぐためにコイル左側にS極が作られる、と考えてもいいです)

磁石のS極が遠ざかる場合は、左向きの磁力線が減っていくのでそれに抵抗して左向きの磁力線が発生し、左図のような電流が流れます。これはN極が近づく場合と同じです。

(S極が遠ざかってしまうのを防ぐためにコイル左側にN極が作られる、と考えてもいいです)

このような向きの決まり方をレンツの法則 19世紀のロシアの物理学者、ハインリヒ・レンツ より。
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といいます。磁石が近づいてくると反発し、遠ざかると引き付けるので、「行っちゃーいやよ来ちゃいやよの法則」、あるいは、「レンツのツンデレの法則」、と覚えてください。(『渦電流』項もご参照ください)

ファラデーの電磁誘導の法則

またこのとき、
 磁石を速く動かすほど、
 磁石の磁力が強いほど、
 コイルの巻き数が多いほど、
発生する誘導起電力が大きくなります。

これら3つのこととレンツの法則を足し合わせて、ファラデーの電磁誘導の法則 19世紀のイギリスの物理学者、マイケル・ファラデー より。
電気容量の単位 [F] ファラド もこの人にちなんでいます。
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といいます。その大きさについては『電磁誘導』項で解説しましたのでご参照ください。

この電磁誘導は発電の原理となっています。発電所で作られる電気は電磁誘導によって作られています。