全反射をホイヘンスの原理で説明
波の反射や波の屈折はホイヘンスの原理によって説明することができましたが、全反射についてもホイヘンスの原理を使って説明することができます。
まだ全反射が起こっていない(普通の屈折の)場合の様子は左図のようになります。青波が進んでいって緑波になります。半円が素元波です。全反射が起こりうるのは屈折率が大きい媒質から屈折率が小さい媒質に進む場合ですから、入射角より屈折角の方が大きくなっています。
そしてこのとき、屈折と同時に反射も起こっています。このことは『波の反射』項や『波の屈折』項では触れませんでしたが屈折と反射はたいてい同時に起こっています。
もっと入射角が大きい場合(あるいは下の媒質と上の媒質の屈折率の差が大きい場合)は左図のようになります。
さらに入射角が大きく、臨界角となる場合、屈折角が 90° になります。
さらにもっと入射角が大きい場合、屈折波の素元波たちは統一波面(接線)を形成できないので(他から来た波によって)弱め合って消えてしまいます。残るのは下方の反射波を形成する素元波たちだけです。
ここまでは、屈折率が大きい媒質から屈折率が小さい媒質へ進む場合の話でしたが、逆に屈折率が小さい媒質から屈折率が大きい媒質へ進む場合は、入射角がどんな角度であっても、境界面の向こう側の素元波たちの統一波面が形成される、すなわち屈折波が存在する、つまり全反射しない、ということになります。