qG933

図3のような、起電力 E の電池、電気容量が C と 2C のコンデンサー、大きさ R の抵抗からなる回路がある。はじめスイッチS1とスイッチS2はともに開いており、コンデンサーに電荷は蓄えられていなかった。

図 3

(問4)スイッチS1が開いているとき、点aと点cの間のコンデンサーの合成容量はいくらか。

(問5)次にスイッチS1を開いたまま、スイッチS2を閉じた。このとき、点bの点cに対する電位はいくらか。E で表わせ。

(問6)次にスイッチS2を開き、その後スイッチS1を閉じた。このとき、二つのコンデンサーに蓄えられている静電エネルギーの和は、間5の場合に比べてどうなるか。最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。

① 抵抗 R に電流が流れ、静電エネルギーの和は減少する。
② 二つのコンデンサーに蓄えられている電気量はどちらも変わらず、静電エネルギーの和は変わらない。
③ 回路が電源から切り離されたので、静電エネルギーの和は増加する。
④ 回路が電源から切り離されたので、静電エネルギーの和は変わらない。
⑤ エネルギー保存の法則により、静電エネルギーの和は変わらない。

#センター04本試

(問4)
二つのコンデンサーが直列に接続されているから、求める合成容量を C' とすると、

    \(\large{\frac{1}{C'}}\) = \(\large{\frac{1}{C}}\) + \(\large{\frac{1}{2C}}\)

 ∴  \(\large{\frac{1}{C'}}\) = \(\large{\frac{2+1}{2C}}\)

 ∴  C' = \(\large{\frac{2C}{3}}\)

 

(問5)
スイッチS1を開いたまま、スイッチS2だけ閉じたということなので、実質的な回路は左図のようになり、

ac間に掛かる電圧は E であり、合成容量が C' = \(\large{\frac{2C}{3}}\) であるので、この合成コンデンサーに蓄えられている電気量を Q' とすると、Q = CV の関係より、

  Q' = C' × E = \(\large{\frac{2CE}{3}}\)

この電気量は、合成コンデンサーに蓄えられた電気量であり、上のコンデンサーに蓄えられた電気量でもあり、下のコンデンサーに蓄えられた電気量でもあります。 直列につながれたコンデンサーにおいては

上のコンデンサーの正極板に正電荷が8個あれば、


その負極板には負電荷が8個あり、


下のコンデンサーの正極板には正電荷が8個あり、


その負極板には負電荷が8個あります。


個数が一致しないことはありません。

点bの点cに対する電位(=点cから見た点bの電位)を Vb とすると、Q = CV の関係より、

    Vb = \(\large{\frac{Q'}{2C}}\) = \(\large{\frac{\frac{2CE}{3}}{2C}}\) = \(\large{\frac{E}{3}}\)   もし電池の向きが逆であった場合、

点cから見た点bの電位は負になり、答えは - \(\large{\frac{E}{3}}\) となります。

 

下のコンデンサーに掛かる電圧が \(\large{\frac{E}{3}}\) なので、上のコンデンサーに掛かる電圧は E - \(\large{\frac{E}{3}}\) = \(\large{\frac{2}{3}}\)E です。直列の二つのコンデンサーに掛かるそれぞれの電圧は、電気容量の逆比です。

 

(別解)
各コンデンサーに蓄えられる電気量を Q' 、求める電位を Vb としますと、ab間の電位差は E - Vb であり、Q = CV の関係より、

 上のコンデンサー: Q' = C × (E - Vb)

 下のコンデンサー: Q' = 2C × Vb

であるので、

    C × (E - Vb) = 2C × Vb

 ∴  E - Vb = 2Vb

 ∴  E = 3Vb

 ∴  Vb = \(\large{\frac{E}{3}}\)

(問6)次にスイッチS2を開き、その後スイッチS1を閉じた。このとき、二つのコンデンサーに蓄えられている静電エネルギーの和は、間5の場合に比べてどうなるか。最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。

① 抵抗 R に電流が流れ、静電エネルギーの和は減少する。
② 二つのコンデンサーに蓄えられている電気量はどちらも変わらず、静電エネルギーの和は変わらない。
③ 回路が電源から切り離されたので、静電エネルギーの和は増加する。
④ 回路が電源から切り離されたので、静電エネルギーの和は変わらない。
⑤ エネルギー保存の法則により、静電エネルギーの和は変わらない。

スイッチS2を開くと電池との接続は切れ、電池が無いのと同じ状態になります。

それでも極板の正電荷と負電荷は引きつけ合っています。

そして、スイッチS1を閉じると、下のコンデンサーの正電荷と負電荷は移動し、中和します。放電です。このとき抵抗 R に電流が流れ、ジュール熱が発生します。エネルギーを消費するのです。

上のコンデンサーの静電エネルギーは維持されますが、下のコンデンサーの静電エネルギーは 0 になってしまいます。

というわけで、答えは ① 抵抗 R に電流が流れ、静電エネルギーの和は減少する 、 です。

 

(余談)
もし、上のコンデンサーについても同じようなことをやれば、正電荷と負電荷は中和され、静電エネルギーは 0 になります。