qH18D

図2のように、水平面の左右に斜面がなめらかにつながった面がある。この面は、水平面上の長さ L の部分ABだけがあらく、その他の部分はなめらかである。小物体を左側の斜面上の高さ h の点Pに置き、静かに手を離した。ただし、小物体とあらい面との間の動摩擦係数を μ' 、重力加速度の大きさを g とする。

図 2

(問3)小物体が点Pを出発してから初めて点Aを通過するときの速さを式で表わせ。

(問4)その後、小物体はABを通過して、右側の斜面を滑り上がり、高さが \(\large{\frac{7}{10}}\)h の点Qまで到達したのち斜面を下り始めた。μ' を式で表わせ。

(問5)次の文章中の空欄1920を埋めよ。

 小物体は、面上を何回か往復運動をしてからAB間のある点Xで静止した。小物体は、点Pを出発してから点Xで静止するまでに、点Aを19回通過した。また、AX間の距離は20であった。

#センター12本試

(問3)
小物体の質量を m 、求める速さを v と置きますと、

点Pでの力学的エネルギー

    (運動エネルギー)+(位置エネルギー)= 0 + mgh

点Aでの力学的エネルギーは

    (運動エネルギー)+(位置エネルギー)= \(\large{\frac{1}{2}}\)mv2 + 0

力学的エネルギー保存の法則より上の2式は等しいから、

    \(\large{\frac{1}{2}}\)mv2 + 0 = 0 + mgh

 ∴  \(\large{\frac{1}{2}}\)v2 = gh

 ∴  v = \(\sqrt{2gh}\)

 

 

(問4)
もしAB間に摩擦が無ければ、小物体は \(\large{\frac{7}{10}}\)h ではなく h の高さまで登ったはずです。高さが低くなってしまったのは摩擦によりエネルギーが失われたからです。点Pでの力学的エネルギーと点Qでの力学的エネルギーの差分が摩擦力がした仕事(エネルギー)となっています。(qG7FAqG7T4の問3、『ΔE = W の式』参照)

    mgh - mg\(\large{\frac{7}{10}}\)h = μ'mg × L  ……①

 ∴  h - \(\large{\frac{7}{10}}\)h = μ'L

 ∴  \(\large{\frac{3}{10}}\)h = μ'L

 ∴  μ' = \(\large{\frac{3h}{10L}}\)

 

 

(問5)
小物体はABを通過するたびに摩擦力に仕事をされ、この仕事が μ'mg × L であり、①式より mg\(\large{\frac{3}{10}}\)h であるわけです。

(1回目)
点Pで mgh だったエネルギーが
ABを通過して mg\(\large{\frac{3}{10}}\)h だけ失い、
mg\(\large{\frac{7}{10}}\)h になります。

(2回目)
mg\(\large{\frac{7}{10}}\)h のエネルギーが
ABを通過して mg\(\large{\frac{3}{10}}\)h だけ失い 2回目はスピードが遅くなりますが、失うエネルギー量は同じです。
動摩擦力の大きさはスピードが遅くなっても変わりません。

mg\(\large{\frac{4}{10}}\)h になります \(\large{\frac{4}{10}}\)h の高さまで登ります。

(3回目)
mg\(\large{\frac{4}{10}}\)h のエネルギーが
ABを通過して mg\(\large{\frac{3}{10}}\)h だけ失い、
mg\(\large{\frac{1}{10}}\)h になります。

(4回目)
mg\(\large{\frac{1}{10}}\)h のエネルギーが
ABを通過しようとしますが、エネルギーが足らず途中で止まってしまいます。

AB間を通過するのに mg\(\large{\frac{3}{10}}\)h のエネルギーが必要なところを mg\(\large{\frac{1}{10}}\)h だけしか残っていないので、小物体は点Bから \(\large{\frac{1}{3}}\) の所で力尽きて止まります。

19の答えは 3回

20は点Aからの距離を聞かれているので答えは \(\large{\frac{2}{3}}\)L