図2のように、水平面の左右に斜面がなめらかにつながった面がある。この面は、水平面上の長さ L の部分ABだけがあらく、その他の部分はなめらかである。小物体を左側の斜面上の高さ h の点Pに置き、静かに手を離した。ただし、小物体とあらい面との間の動摩擦係数を μ' 、重力加速度の大きさを g とする。
(問3)小物体が点Pを出発してから初めて点Aを通過するときの速さを式で表わせ。
(問4)その後、小物体はABを通過して、右側の斜面を滑り上がり、高さが \(\large{\frac{7}{10}}\)h の点Qまで到達したのち斜面を下り始めた。μ' を式で表わせ。
(問5)次の文章中の空欄19⋅20を埋めよ。
小物体は、面上を何回か往復運動をしてからAB間のある点Xで静止した。小物体は、点Pを出発してから点Xで静止するまでに、点Aを19回通過した。また、AX間の距離は20であった。
#センター12本試
(問3)
小物体の質量を m 、求める速さを v と置きますと、
点Pでの力学的エネルギーは
(運動エネルギー)+(位置エネルギー)= 0 + mgh
点Aでの力学的エネルギーは
(運動エネルギー)+(位置エネルギー)= \(\large{\frac{1}{2}}\)mv2 + 0
力学的エネルギー保存の法則より上の2式は等しいから、
\(\large{\frac{1}{2}}\)mv2 + 0 = 0 + mgh
∴ \(\large{\frac{1}{2}}\)v2 = gh
∴ v = \(\sqrt{2gh}\)
(問4)
もしAB間に摩擦が無ければ、小物体は \(\large{\frac{7}{10}}\)h ではなく h の高さまで登ったはずです。高さが低くなってしまったのは摩擦によりエネルギーが失われたからです。点Pでの力学的エネルギーと点Qでの力学的エネルギーの差分が摩擦力がした仕事(エネルギー)となっています。(qG7FA、qG7T4の問3、『ΔE = W の式』参照)
mgh - mg\(\large{\frac{7}{10}}\)h = μ'mg × L ……①
∴ h - \(\large{\frac{7}{10}}\)h = μ'L
∴ \(\large{\frac{3}{10}}\)h = μ'L
∴ μ' = \(\large{\frac{3h}{10L}}\)
(問5)
小物体はABを通過するたびに摩擦力に仕事をされ、この仕事が μ'mg × L であり、①式より mg\(\large{\frac{3}{10}}\)h であるわけです。
(1回目)
点Pで mgh だったエネルギーが
ABを通過して mg\(\large{\frac{3}{10}}\)h だけ失い、
mg\(\large{\frac{7}{10}}\)h になります。
(2回目)
mg\(\large{\frac{7}{10}}\)h のエネルギーが
ABを通過して mg\(\large{\frac{3}{10}}\)h だけ失い
2回目はスピードが遅くなりますが、失うエネルギー量は同じです。
動摩擦力の大きさはスピードが遅くなっても変わりません。
、
mg\(\large{\frac{4}{10}}\)h になります
\(\large{\frac{4}{10}}\)h の高さまで登ります。
。
(3回目)
mg\(\large{\frac{4}{10}}\)h のエネルギーが
ABを通過して mg\(\large{\frac{3}{10}}\)h だけ失い、
mg\(\large{\frac{1}{10}}\)h になります。
(4回目)
mg\(\large{\frac{1}{10}}\)h のエネルギーが
ABを通過しようとしますが、エネルギーが足らず途中で止まってしまいます。
AB間を通過するのに mg\(\large{\frac{3}{10}}\)h のエネルギーが必要なところを mg\(\large{\frac{1}{10}}\)h だけしか残っていないので、小物体は点Bから \(\large{\frac{1}{3}}\) の所で力尽きて止まります。
19の答えは 3回
20は点Aからの距離を聞かれているので答えは \(\large{\frac{2}{3}}\)L