床に静止している質量 \(m\) の小物体に、大きさ \(F\) の一定の力を加え続けて、小物体を鉛直上方に運動させた。この小物体が、床からの高さ \(h\) の点を通過したときの、小物体の運動エネルギーを表す式として正しいものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。ただし、重力加速度の大きさを \(g\) とし、空気抵抗は無視できるものとする。
① 0 ② \(mgh\) ③ \(Fh\)
④ \((F - mg)h\) ⑤ \((F + mg)h\) ⑥ \({\large\frac{1}{2}}mF^2\)
#共テ24本試物理基礎
この問題は初速を与えて打ち上げたというわけではなく、力を加え続けたということなので、鉛直上方投射の話ではなく、仕事の話です。
仕事というのは力×距離であり、\(F\) の力がした仕事というのは \(Fh\) です。
これが小物体のエネルギーの増加に使われるわけですが、本問では摩擦が無いので摩擦熱に使われることはなく、ばねもつながってないので弾性エネルギーに使われることもなく、すべては小物体の運動エネルギー(\(K\) とおきます)と位置エネルギー(\(mgh\))に使われます。つまり、
\(Fh = K + mgh\)
∴ \(K = Fh - mgh = (F - mg)h\)
答えは ④ \((F - mg)h\) です。
暗算で解くとすると、
水平方向の運動に変換し、
\(F - mg\) という力が \(h\) だけ動くので仕事は \((F - mg)h\) であり、これがすべて運動エネルギーになる、
と考えます。
(加速度や速度を割り出して解いてみる)
小物体の加速度を \(a\) とおいて運動方程式を立てますとp>
\(ma = F - mg\)
∴ \(a = \large\frac{F - mg}{m}\)
小物体が高さ \(h\) の点を通過するときの速度を \(v\) として、等加速度直線運動の速度を含まない式(\(v^2 - {v_0}^2 = 2ax\))を立てますと、
\(v^2 - 0^2 = 2ah\) 上式を代入して
∴ \(v^2 = 2{\large\frac{F - mg}{m}}h\)
よって
\(K = {\large\frac{1}{2}}mv^2 = {\large\frac{1}{2}}m\ ×\ 2{\large\frac{F - mg}{m}}h = (F - mg)h\)
と求まります。