ボイル⋅シャルルの法則

ボイル⋅シャルルの法則

気体の圧力

気体を容器に閉じ込めると、気体分子は容器内を激しく飛び回り、壁に衝突します。容器内の気体分子はどの分子も同じ力で壁に衝突します。容器の真ん中付近の分子だけが勢いが強くて、端の方の分子は勢いが弱いというようなことはありません。パスカルの原理がはたらいていて、どこも一様です水圧について考えるときは、その高さについて考慮しましたが、気体の圧力を考える場合は、どこもかしこも一様、とみなします。
大気圧について考えるときは高さを考慮する場合があります。
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気体の圧力というのは、面におよぼす単位面積当たりの力のことであります。面積 S [m2] の面に垂直に加わる力の大きさが F [N] であるときに、圧力 p [Pa] は、

    p = \(\large{\frac{F}{S}}\)

と表されます。

気体の圧力の根源は、分子熱運動であり、その運動が激しいほど、つまり、温度が高いほど、圧力は大きくなります。

(左図の赤矢印の長さは熱運動の激しさを表現しています。)

また、分子の数が多いほど気体の圧力は大きくなります。壁に当たる分子の数が増えるからです。別の表現をしますと、同じ分子の数であれば体積が小さいほど気体の圧力が大きくなります。単位体積当たりの分子の数が多くなるほど気体の圧力は大きくなるのです。


気圧

100Pa を 1hPa(いちへくとぱすかる)といいます。h(へくと)というのは 100 という意味です。この単位は天気予報で大気圧を表すときなどに使われます。海面での大気圧の標準値は 1013hPa です。これを 1気圧、あるいは 1atm(いちあとむ)大気 atmosphere から。閉じるといいます。

  1 気圧 = 1 atm = 1013 hPa = 101300 Pa = 1.013×105 Pa

です。

ボイルの法則

一定量(左図では分子4個)の気体をピストン付きシリンダーの中に入れ、温度を一定に保ちながら、ピストンを押して気体を圧縮して体積を小さくしていくと、圧力は大きくなっていきます。体積を1/2、1/3、1/4と圧縮していくと圧力が2倍、3倍、4倍になっていきます。体積が小さくなると分子の壁への衝突回数が増えるからです。

温度が一定のとき、気体の圧力 p [Pa] は体積 V [m3] に反比例するのです。これをボイルの法則といいます17世紀のアイルランドの物理学者、ロバート⋅ボイル Robert Boyle が発見しました。

お湯を沸かすときのボイルは boil 。閉じる

ボイルの法則

 温度と質量が一定のとき、気体の圧力 p は体積 V に反比例する

 pV = k(一定)

p1V1 = p2V2 などと表現することもあります。

ボイルの法則をグラフで表わすと左図のようになります。反比例のグラフです。この曲線を等温曲線(等温線)といいます。温度が高かったり質量(=分子の数)が大きかったりすると、グラフの曲線は点線の位置に移動します。これはボイルの法則の式における k のことを指します。温度や質量が大きくなると k が大きくなり、グラフの曲線は原点から遠ざかります。

ボイルの法則のように、気体の温度が一定で圧力や体積が変化することを等温変化といいます。

シャルルの法則

一定量(左図では分子4個)の気体をピストン付きシリンダーの中に入れ、圧力を一定に保ちながら、気体を加熱していくと、体積は大きくなっていきます。上で説明したように、温度が上がると分子が壁に勢いよく当たり、衝突回数も増えて、圧力が上がります。ピストンには重さが無く、かつ自由に動けるようにしておく(つまり、シリンダー内部の圧力と外部の圧力が等しくなるようにしておく)と、圧力が高まった内部の気体がピストンを押し、外部の気体の圧力とつり合うまでピストンを持ち上げます。

圧力が一定のとき、気体の絶対温度 T [K] は体積 V [m3] に比例するのです。これをシャルルの法則といいます18世紀のフランスの物理学者ジャック・シャルルが発見しました。
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シャルルの法則

 圧力と質量が一定のとき、気体の絶対温度 T は体積 V に比例する

 \(\large{\frac{V}{T}}\) = k(一定)

\(\large{\frac{V_1}{T_1}}\) = \(\large{\frac{V_2}{T_2}}\) などと表現することもあります。

実際にシャルルが実験で導き出した式は、一定の圧力において 0℃ のときの気体の体積を V0 [m3]、セルシウス温度を t [℃]、そのときの体積を V [m3] とし、

シャルルの法則(セルシウス温度)

 V = V0(1 + \(\large{\frac{1}{273}}\)t)

というものでした。この式に絶対温度とセルシウス温度の関係式 T = t + 273 を代入すると、

    V = V0(1 + \(\large{\frac{1}{273}}\)t)

      = \(\large{\frac{V_0}{273}}\)(273 + t)

      = \(\large{\frac{V_0}{273}}\)(273 + T - 273)

      = \(\large{\frac{V_0}{273}}\)T

 ∴  \(\large{\frac{V}{T}}\) = \(\large{\frac{V_0}{273}}\)   (\(\large{\frac{V_0}{273}}\) は定数、つまり k とおける)

となり、絶対温度でのシャルルの法則の式が導き出されます。

シャルルの法則をグラフで表わすと左図のようになります。比例のグラフです。圧力が高いとグラフの曲線は温度軸に近づきます。質量(=分子の数)が大きいとグラフの曲線は体積軸に近づきます。

シャルルの法則のように、気体の圧力が一定で温度や体積が変化することを定圧変化といいます。

ボイル⋅シャルルの法則

ボイルの法則 pV = k と、 シャルルの法則 \(\large{\frac{V}{T}}\) = k は組み合わせることができます。ボイル⋅シャルルの法則といいます。

ボイル⋅シャルルの法則

 質量が一定のとき、気体の体積 V は、圧力 p に反比例し、絶対温度 T に比例する

 \(\large{\frac{pV}{T}}\) = k(一定)

\(\large{\frac{p_1V_1}{T_1}}\) = \(\large{\frac{p_2V_2}{T_2}}\) などと表現することもあります。このとき、T の単位は絶対温度 [K] です。pV については、両辺が揃っていれば単位は何でもかまいません。

理想気体の状態方程式

理想気体

上記ボイル⋅シャルルの法則は、理想的、観念的な気体においてしか成り立ちません。分子に大きさが無く、分子間力も無い、とした気体です。絶対零度 0K において体積が 0 になる、という気体です。このような気体を理想気体といいます。高校物理の熱力学では理想気体であることが前提となっています。

現実の気体は、分子に大きさがあり、分子間力があり、ボイル⋅シャルルの法則は厳密には成り立ちません。このような気体を実在気体といいます。実在気体でも、低圧で高温の場合は理想気体と同じとみなしたりします。

物質量

気体というものは、種類が変わっても、同じ体積の中に存在する分子の個数が同じです。酸素であっても二酸化炭素であっても水素であっても同じ個数です。アボガドロの法則といいます19世紀のイタリアの物理学者、アメデオ⋅アヴォガドロが発見しました。
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。厳密にいいますと、同一温度、同一圧力、同一体積のすべての種類の気体には同じ個数の分子が含まれる、となります。化学の教科書に詳しく載ってます。

で、その個数はいったいいくつなのかといいますと、0℃、1atm、22.4リットルの中に 約602000000000000000000000個 です。短く書くと 6.02×1023個 です。さらに短く書くと 1mol(いちもる)です分子 molecule から。閉じる。この個数をアボガドロ定数といいます。記号で表すときは NA を用います。

    NA = 6.02×1023 /mol /mol というのは 個/mol という意味です。1mol 当たり何個という意味です。答案用紙に 個/mol と書いてもバツにはならないと思います。
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です。

903000000000000000000000個 は 1.5mol です。mol というのはダースのようなものと捉えることができます。240個 なら 20ダース です。

mol を使って個数を表した量を物質量といいます。903000000000000000000000個 と言えば個数ですが、1.5mol と言えば物質量です。n [mol] という物質量は、n×NA [個] という個数のことです。

理想気体の状態方程式

上記の通り 1mol の理想気体は、0℃、1atm、のときに 22.4リットル となりますので、これらの値をボイル⋅シャルルの法則の式

    \(\large{\frac{pV}{T}}\) = k

に代入すると、k の値が特定できます。p に (1atm=) 1.013×105 Pa 、V に (22.4リットル=0.0224m3=) 2.24×10-2 [m3] 、T に (0℃=) 273 [K] を代入しますと、

    k = \(\large{\frac{pV}{T}}\) = \(\large{\frac{1.013×10^5×2.24×10^{-2}}{273}}\) = \(\large{\frac{1.013×2.24}{273}}\)×103 ≒ 0.00831×103 = 8.31

単位は、

    k = \(\large{\frac{[\rm{Pa}]×[\rm{m}3]}{[\rm{K}]}}\) = \(\large{\frac{[\rm{N/m^2}]×[\rm{m}3]}{[\rm{K}]}}\) = \(\large{\frac{[\rm{N}]×[\rm{m}]}{[\rm{K}]}}\) = \(\large{\frac{[\rm{J}]}{[\rm{K}]}}\) = [J/K]

ですが、これは 1mol のときの話です。2mol のときは体積が 44.8リットル、3mol のときは体積が 67.2リットル などという風になります。よって、この k の単位は [J/K]/[mol] = [J/(mol⋅K)] です。

この k の値を気体定数といい、R で表しますR の語源は、ラテン語で「定数」を意味する ratio のようです。正確なことは分かりません。
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    R = 8.31 J/(mol⋅K)

もし、n [mol] の理想気体であれば k の値は nR [J/(mol⋅K)] であり、

    \(\large{\frac{pV}{T}}\) = nR

となります。さらに、変形すると以下のようになります。

理想気体の状態方程式

 pV = nRT

ピーブイイコールエヌアールティー です。上のボイル⋅シャルルの法則と、この理想気体の状態方程式はテストに頻出です。絶対に覚えてください。

T については、これは絶対温度であることに気を付けなければならないのですが、差分を考えるときは、セ氏温度 [℃] でも絶対温度 [K] でもどちらでも大丈夫です。たとえば、pΔV = nRΔT とか ΔpV = nRΔT という式を考えるようなときです。