固定端・自由端

固定端・自由端

固定端・自由端と位相

波を伝える媒質の端が固定されているときと固定されてないときでは波の反射の仕方が違います。

左図のように媒質の右端が固定されているとき、左からやってきたパルス波の反射波は左図のようになります。このような端を固定端といいます。反射波は入射波を固定端を中心に点対称に写したような形になります。波のタイミングが山だったものが谷となって反射します。このことを位相πズレるといいます。

媒質の右端が固定されてないとき、左からやってきたパルス波の反射波は左図のようになります。このような端を自由端といいます。反射波は入射波を反射面で線対称に折り返したような形になります。波のタイミングが山だったものが山のまま反射します。位相は変わらないということです。


反射面付近は複雑

反射面付近はちょっと複雑なのですが、波の形は仮想的な入射波仮想的な反射波との合成波となります。合成波波の重ね合わせの原理によって仮想的な入射波仮想的な反射波の高さを足し合わせたものです。

固定端反射における仮想的な反射波とは入射波を固定端を中心に点対称に写した形の波です。

自由端反射における仮想的な反射波とは入射波を反射面で線対称に折り返した形の波です。

お互い通り過ぎれば仮想的な反射波がそのまま実際の反射波となります。

1コマずつ考える

ここまでは教科書通りの説明ですが、もうちょっと詳しく媒質の各点がどのように作用してこうなるかということを考えてみます。

左図の赤1赤0を7目盛りまで引き上げようとし、赤2赤1を12目盛りまで引き上げようとし、赤3赤2を16目盛りまで引き上げようとします。このようにして波は伝わっていきます。

しかし赤0が固定されてると赤1は逆に引っ張り返されてしまいます。

スケボーに乗って電柱に縛り付けられたロープを引っ張ると自分が電柱に引っ張り返されてしまうのと同じです。強い力で引っ張るほど強く引っ張り返されてしまいます。こちらが引っ張ったのと同じ力で引っ張り返されます。

よって赤1は、赤0を7目盛りまで引き上げようとして逆に7目盛り分下に引っ張り返され、赤2からは16目盛りまで引き上げようとされるので、次の瞬間赤1は16-7=9目盛りの位置へ移動することになります。

そして赤1は9目盛りの位置に移動しつつ、赤0を12目盛りまで引き上げようとして逆に12目盛り分下に引っ張り返され、赤2からは19目盛りまで引き上げようとされるので、次の瞬間赤1は19-12=7目盛りの位置へ移動することになります。

さらにこのとき赤1赤2を7目盛り分下に引っ張ります。先ほど赤0に7目盛り分下に引っ張られていたのが赤1から赤2に移ったのです。また赤2赤3から20目盛りまで引っ張り上げられようとするので、次の瞬間赤2は20-7=13目盛りの位置へ移動することになります。

このようにして、

赤1は7目盛りの位置へ移動し、赤0から16目盛り分下に引っ張り返され、赤2からは20目盛りまで引き上げようとされるので、次の瞬間20-16=4目盛りの位置へ移動し、

赤2は13目盛りの位置へ移動し、赤1から12目盛り分下に引っ張り返され、赤3からは19目盛りまで引き上げようとされるので、次の瞬間19-12=7目盛りの位置へ移動し、

赤3は19目盛りの位置へ移動し、赤2から7目盛り分下に引っ張り返され、赤4からは16目盛りの位置まで移動させられようとするので、次の瞬間16-7=9目盛りの位置へ移動します。

そして最終的に下に出っ張った波が反射波として現れます。

赤1だけに着目すると)
 0- 0=  0目盛り
 0- 0=  0目盛り
 0- 0=  0目盛り
 7- 0=  7目盛り
12- 0= 12目盛り
16- 7=  9目盛り
19-12=  7目盛り
20-16=  4目盛り
19-19=  0目盛り
16-20=-4目盛り
12-19=-7目盛り
 7-16=-9目盛り
 0-12=-12目盛り
 0- 7=-7目盛り
 0- 0=  0目盛り
 0- 0=  0目盛り
 0- 0=  0目盛り
(となっています。)

次に、自由端について考えてみます。

1番君0番君を引っ張る場合、-1番君がいるときに比べ、

-1番君が居ないときのほうが2倍いきおい良く引っ張ることができるという法則から考えます。(これを運動量保存の法則といいます。)

赤1赤0を7目盛りまで引っ張り上げようとしますが、-1番君が居ないのでさらに7目盛り上の14目盛りまで上がります。

次に赤1赤0を12目盛りまで引っ張り上げようとしますが、-1番君が居ないのでさらに12目盛り上の24目盛りまで上がります。

そしてこのとき赤1赤2から16目盛りまで引っ張られ、さらに先ほど赤0を7目盛り余分に引っ張り上げた勢いが移ってきて赤1は16+7=23目盛りまで上がります。

このようにして、

赤0は16目盛りのところを32目盛りまで上がり、

赤1赤2から19目盛りに上げられ、さらに先ほど12目盛りあげた勢いが移ってきて19+12=31目盛りまで上がり、

赤2赤3から20目盛りに上げられ、さらに先ほど7目盛りあげた勢いが移ってきて20+7=27目盛りまで上がります。

そして最終的に反射面で線対称に折り返したような波が反射波として現れます。


ブロック片で考える

ここまでの説明でもわかりにくいかもしれません。抽象的なことをいうと、波の伝播の本質は運動量保存の法則の数珠繋ぎである、といえると思います。ですから、まだ運動量保存の法則を学んでない方は固定端・自由端を理解するのは無理があるのではないかと思います。しかし次のアニメーションを見てもらえば感覚的に理解してもらえると思います。