qGAR7

三つの抵抗器A、B、Cがある。Aの抵抗値は R1 で、BとCの抵抗値はともに R2 である。これらの抵抗値を、起電力が E で内部抵抗が無視できる電池と二つのスイッチS1、S2に図1のように接続した。

図 1

(問1)次の文章中の空欄12に入れる式として正しいものを、下の①~⑧のうちから一つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。

まず、S1とS2をともに開いた状態で、点Pと点Qの間の電位差(電圧)を測定したところ1であった。次に、S1とS2をともに閉じたら、点Pと点Qの間の電位差は2となった。

① 0  ② E  ③ \(\large{\frac{R_1E}{R_2}}\)  ④ \(\large{\frac{R_1E}{2R_2}}\)  ⑤ \(\large{\frac{R_2E}{R_1}}\)  ⑥ \(\large{\frac{R_2E}{2R_1}}\)  ⑦ \(\large{\frac{2R_1E}{2R_1+R_2}}\)  ⑧ \(\large{\frac{R_2E}{2R_1+R_2}}\)

(問2)S1とS2をともに閉じたときに電池が供給する電力(仕事率)を W1 とし、S1を閉じS2を開いたときに電池が供給する電力を W2 とする。\(\large{\frac{W_1}{W_2}}\) を表す式として正しいものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。

① \(\large{\frac{R_1+R_2}{2R_1+R_2}}\)  ② \(\large{\frac{R_1+R_2}{R_1+2R_2}}\)  ③ \(\large{\frac{2R_1+2R_2}{2R_1+R_2}}\)  ④ \(\large{\frac{2R_1+R_2}{2R_1+R_2}}\)  ⑤ \(\large{\frac{R_1}{2R_2}}\)  ⑥ \(\large{\frac{R_2}{2R_1}}\)

#センター09追試

(問1)
1 S1とS2をともに開いた状態では回路はつながっておらず、
回路はこのようなものと同等であり、

点Pと点Qの電位差は電池の起電力に等しくなっています。

答はE です。

コンデンサー』、『コンデンサーの接続』と同じ状態です。

 

2 S1とS2をともに閉じた状態の回路図は以下のようになります。回路を流れる電流を I と置きます。

まず、BとCを合わせた抵抗(RBCと置く)は、並列接続だから、

  \(\large{\frac{1}{R_{\rm{BC}}}}\) = \(\large{\frac{1}{R_2}}\) + \(\large{\frac{1}{R_2}}\)

∴ \(\large{\frac{1}{R_{\rm{BC}}}}\) = \(\large{\frac{2}{R_2}}\)

∴ RBC = \(\large{\frac{R_2}{2}}\)

回路全体の抵抗(Rと置く)はAの抵抗(RAと置く)と RBC を合わせたものであり、直列接続だから、

    R = RA + RBC

  ⇔ R = R1 + \(\large{\frac{R_2}{2}}\)

     = \(\large{\frac{2R_1+R_2}{2}}\)

オームの法則より、回路全体の電圧 E を回路全体の抵抗 R で割れば電流 I が求められ、

    I = \(\large{\frac{E}{\frac{2R_1+R_2}{2}}}\)

     = \(\large{\frac{2E}{2R_1+R_2}}\)

PQ間の電位差(電圧)は、オームの法則より、Aの抵抗 R1 と電流 I を掛けたものだから、

     ⑦ \(\large{\frac{2R_1E}{2R_1+R_2}}\)

 

(別解)
I を求めなくても、直列接続においては抵抗の比が電圧の比 たとえば、以下のような回路において、

抵抗Aに掛かる電圧は \(\large{\frac{2}{2+3}}\)E = \(\large{\frac{2}{5}}\)E です。
、であることを知っていれば、

    \(\large{\frac{\rm{A}の抵抗}{全体の抵抗}}\) × E = \(\large{\frac{R_1}{\frac{2R_1+R_2}{2}}}\) × E = \(\large{\frac{2R_1E}{2R_1+R_2}}\)

と求まります。

 

 

(問2)
S1とS2をともに閉じたときの電力

  W1 = (IV) = \(\large{\frac{2E}{2R_1+R_2}}\) × E = \(\large{\frac{2E^2}{2R_1+R_2}}\)

S1を閉じS2を開いたときは、

合成抵抗が R1 + R2 であり、電流を I' とすると、オームの法則より

    I' = \(\large{\frac{E}{R_1+R_2}}\)

であり、電力は

  W2 = (IV) = \(\large{\frac{E}{R_1+R_2}}\) × E = \(\large{\frac{E^2}{R_1+R_2}}\)

よって、

    \(\large{\frac{W_1}{W_2}}\) = \(\large{\frac{\frac{2E^2}{2R_1+R_2}}{\frac{E^2}{R_1+R_2}}}\) = \(\large{\frac{\frac{2}{2R_1+R_2}}{\frac{1}{R_1+R_2}}}\) = \(\large{\frac{2(R_1+R_2)}{2R_1+R_2}}\) = \(\large{\frac{2R_1+2R_2}{2R_1+R_2}}\)

答は ③ \(\large{\frac{2R_1+2R_2}{2R_1+R_2}}\) です。

 

(余談)
この電力によって回路は発熱します。この回路において電力というのは単位時間当たりのジュール熱のことでもあります。