図1(a)のように、極板間の距離が 3d の平行板コンデンサーに電圧 V0 を加えた。次に、帯電していない厚さ d の金属板を、図1(b)のように極板間の中央に、極板と平行となるように挿入した。極板と金属板の面は同じ大きさ同じ形である。また、図1(a)および(b)のように、左の極板からの距離を x とする。図中には、両極板の中心を結ぶ線分を破線で、x = d および x = 2d の位置を点線で示した。
(問1)図1(a)および(b)において、十分長い時間が経過した後の、両極板の中心を結ぶ線分上の電位 V と x の関係を表す最も適当なグラフを、次の①~⑥のうちから一つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。
(問2)十分長い時間が経過した後の、図1(a)のコンデンサーに蓄えられたエネルギーを Ua 、図1(b)の金属板が挿入されたコンデンサーに蓄えられたエネルギーを Ub とする。エネルギーの比 \(\large{\frac{U_b}{U_a}}\) はいくらか。
#センター17本試物理
(問1)
(a)
極板間の電圧が V0 であるので、x = 0 では V = 0 、x = 3d では V = V0 であり、(①か③か④か⑥である)
極板の正電荷、負電荷によって極板間の電場は作られ、それは一様であるので
途中で電気力線が増えたり減ったりするようなことは起こりません。
、V-xグラフの傾きは一定になるはずです。
答えは ① です。
(b)
極板間の電圧はあくまでも V0 です。(①か③か④か⑥である。②ではない)
電場の中に置かれた導体(金属板)では静電誘導が起こり、内部の電場が 0 になります。電位は一定になります。(①ではない)
これは電位が 0 になるというわけではありません。(④や⑤ではない)
答えは ③ です。
(問2)
(a)のコンデンサーの電気容量を C0 と置きますと、(b)のコンデンサーの電気容量(Cb と置きます)は、導体が挟まれているので、
Cb = \(\Big(\)\(\large{\frac{d}{d-x}}\)C0\(\Big)\) = \(\large{\frac{3}{3-1}}\)C0 = \(\large{\frac{3}{2}}\)C0
(a)のコンデンサーに蓄えられた静電エネルギー Ua は
Ua = \(\Big(\)\(\large{\frac{1}{2}}\)CV2\(\Big)\) = \(\large{\frac{1}{2}}\)C0V02
(b)のコンデンサーに蓄えられた静電エネルギー Ub は
Ub = \(\Big(\)\(\large{\frac{1}{2}}\)CV2\(\Big)\) = \(\large{\frac{1}{2}}\)⋅\(\large{\frac{3}{2}}\)C0V02
よって、
\(\large{\frac{U_b}{U_a}}\) = \(\large{\frac{3}{2}}\)
(慣れてくると、
金属板が挟まれたことによって電気容量が\(\large{\frac{3}{2}}\)倍になるが、静電エネルギーは U = \(\large{\frac{1}{2}}\)CV2 であり、本問では V が共通であるので静電エネルギーの比は電気容量の比であり、\(\large{\frac{U_b}{U_a}}\) = \(\large{\frac{3}{2}}\) である、
と暗算できるようになります。)