導体
導体とは
電気をよく通す(自由電子の多い)物質を導体(電気伝導体)といいます。銅やアルミニウムなどです。電気回路の配線に使われます。
電気をあまり通さない(自由電子の少ない)物質を不導体(絶縁体)といいます。ゴムやガラスや紙や空気です。
その2つの中間の半導体というのもあります。物質を電気の通しやすさで分類するとき、導体、半導体、不導体の3つに分類されます。
同種の電荷同士の押し合いへし合い
帯電した導体の電荷の分布には特徴があります。
たとえば左図のような形の導体に6個の正電荷が存在するときは、綺麗に均等に6個配置されます。
それぞれの正電荷が静電気力によって押し合いへし合い*斥力です閉じるをするからです。
押し合いへし合いによって電荷は導体の外側へ外側へと移動し、隣の電荷同士で退け合います。きれいな形の導体なら電荷もきれいに並びます。
一種のパスカルの原理です。
凹んでる部分に存在する同種(=正、負の種類が同じ)の電荷は互いに押し合って広がっていきます。
凸状の部分に存在する同種の電荷は広がりにくいです。空中に飛び出してしまうわけにはいきません。
導体の形によって、左図のように分布したり、
左図のように分布したりします。
電場の中の導体
電場の中に導体を置くと、静電気力を受けて、導体内の正電荷は電場の方向へ、負電荷(自由電子)は電場と逆の方向へ移動します。
これが静電誘導です。
すると、移動した正電荷と負電荷によって新たな電場が作られ、元の電場が打ち消されます。
導体内部に元の電場が残っていると、さらに正電荷と負電荷の移動が起こります。そして新たな電場が作られ、元の電場が打ち消されます。
これは導体内部の電場が無くなるまで続きます。電場が無くなるということは静電気力が無くなるということです。静電気力が無くなれば電荷はもう動きません。
電荷にとって導体というものは自由に動ける空間で(逆に電荷にとって空気中は動きにくい不自由な空間)、電荷が自由に動いて落ち着くと導体内部は電場の無い空間になる、ということです。
電場、電位のグラフ
一様な電場の中に置かれた導体について、
縦軸を電場とするグラフを描きますと左図のようになります。導体部分の電場は 0 です。
縦軸を電位とするグラフを描きますと左図のようになります。電位のグラフの曲線の傾きが上の電場になります。赤のグラフを微分すると青のグラフになるということです。
誘電分極のグラフと見比べてください。
電場の中の導体、あるいは帯電した導体の性質
- 導体内部に電場は存在しない。
自由電子の移動が落ち着くと導体内部の電場は 0 になります。 - 導体はどの部分も等電位である。
等電位でないとすると電位差があることになり、電位差があると電場が存在することになってしまいます。 - 導体表面の電場の方向は導体表面に垂直である。
導体がどの部分でも等電位ということは、導体表面も等電位ということです。等電位面と電気力線は直交するので、電場の方向は表面に垂直です。
もし表面に垂直でない成分が残っているとすると、電荷はまだ動く余地があるということです。電荷の移動が落ち着いたということは電場の方向が表面に垂直になったということです。