波の回折

波の回折

ホイヘンスの原理による

波には障害物の陰に回り込んで進んでいくという性質があり、波の回折(かいせつ)です。
解析(かいせき)ではありません。この「析」の偏は「きへん」です。
回折の「折」の偏は「てへん」です。
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といいます。

これはホイヘンスの原理によるものです。

波が小さなすき間を通り抜けると円形波になることから類推できると思います。


波長の大小による

この回折という現象は、波の波長が大きいときほど顕著に現れます。

左図は、青線と青線の間隔で波長の長さを表現しているのですが、

波長が小さい場合は回り込む度合いが小さいです。

これはたとえば左図のA点から出た素元波とB点から出た素元波がP点に達するときに、波長が小さい場合の方が、弱め合いを起こしやすいからです。(『波の干渉』参照)

とある波に、それと同じ波をぶつけようとするとき、

山と山が揃っている、つまり位相が揃っている波ならば2つの波は強め合いますが、

山と山がズレている、つまり位相がズレている波をぶつけると弱め合ってしまいます。音楽プレーヤーなどに付属するノイズキャンセリング機能は、完全に位相が逆転した音波をぶつけることで外野の雑音を消しています。
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波長が短い波はちょっと曲げると位相が大きくズレてしまいますが、波長が長い波はちょっと曲げても位相がそれほどズレないので、あまり弱め合いません。

というわけで、波長が大きい波ほど、よく回折するのです。逆のいい方をしますと、波長が小さいほど直進性が高い、ということになります曲がる方向の成分は打ち消し合い、直進する方向の成分だけが残るからです。
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電波の届きやすさ

ビルの陰などの電波の届きにくい場所で、テレビ電波は届かないのにAMラジオ電波は入るということがあるのは、テレビ電波よりAMラジオ電波の方が波長が大きいからです。

携帯電話の電波は周波数が 800MHz のものや 2GHz のものが使われていますが、2GHz より 800MHz の方がビルの内部の奥までよく届きます。周波数が小さい方が波長が大きいからです。800MHz の電波は波長が 38cm くらいで、2GHz の電波は波長が 15cm くらいです。v = f λ より λ = \(\large{\frac{v}{f}}\) で
電磁波の速さが 約3.0×108 m/s なので
λ800M = 300000000 ÷ 800000000 = 0.375 m
λ2G = 300000000 ÷ 2000000000 = 0.15 m
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