図2のように、大きさが R の抵抗、静電容量が C1 、C2 の平行板コンデンサー、起電力が E で内部抵抗が r の電池、スイッチSを接続した回路がある。 はじめ、スイッチSは a の側にあり、コンデンサー C2 には電荷は蓄えられていなかった。
(問3)コンデンサー C1 の両端間の電圧 V1 はいくらか。正しいものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① \(\large{\frac{R+r}{R}}\)E ② \(\large{\frac{R}{R+r}}\)E
③ \(\large{\frac{R}{R-r}}\)E ④ \(\large{\frac{R-r}{R}}\)E
(問4)次に、スイッチSを b の側にして十分に時間がたったとき、コンデンサー C1 、C2 に蓄えられた電気量は一定となった。 このとき、コンデンサー C2 に蓄えられた電気量を C1 、C2 、V1 で表すとどのようになるか。正しいものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。
① C1V1 ② C2V1 ③ (C1 + C2)V1
④ \(\large{\frac{{C_1}^2}{C_1+C_2}}\)V1 ⑤ \(\large{\frac{C_1C_2}{C_1+C_2}}\)V1 ⑥ \(\large{\frac{{C_2}^2}{C_1+C_2}}\)V1
(問5)次に、スイッチSを b の側にしたまま、コンデンサー C2 の電極間を比誘電率が 1 より大きい誘電体で満たした。このとき、コンデンサー C2 に蓄えられる電気量はどのようになるか。最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
① コンデンサー C2 の電気容量が大きくなるので、蓄えられる電気量は増加する。
② コンデンサー C2 の電気容量が大きくなるので、蓄えられる電気量は減少する。
③ コンデンサー C2 の電気容量が小さくなるので、蓄えられる電気量は増加する。
④ コンデンサー C2 の電気容量が小さくなるので、蓄えられる電気量は減少する。
⑤ 電気量は保存されるので変化しない。
#センター04追試
(問3)
コンデンサー C1 に掛かる電圧と抵抗 R に掛かる電圧は同じであり、
内部抵抗 r に流れる電流を I1 とすると、(充電が完了しているコンデンサーには電流は流れないので)抵抗 R に流れる電流も I1 であり、抵抗 R に掛かる電圧は RI1 となります。
左図のような経路についてのキルヒホッフ第2法則の式を立てますと、
rI1 + RI1 = E
∴ I1 = \(\large{\frac{E}{r+R}}\)
と I1 が求まりますので、
抵抗 R に掛かる電圧は
RI1 = R\(\large{\frac{E}{r+R}}\) = \(\large{\frac{R}{R+r}}\)E
であり、これがコンデンサー C1 の両端間の電圧 V1 です。答えは ② です。
(問4)次に、スイッチSを b の側にして十分に時間がたったとき、コンデンサー C1 、C2 に蓄えられた電気量は一定となった。 このとき、コンデンサー C2 に蓄えられた電気量を C1 、C2 、V1 で表すとどのようになるか。正しいものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。
① C1V1 ② C2V1 ③ (C1 + C2)V1
④ \(\large{\frac{{C_1}^2}{C_1+C_2}}\)V1 ⑤ \(\large{\frac{C_1C_2}{C_1+C_2}}\)V1 ⑥ \(\large{\frac{{C_2}^2}{C_1+C_2}}\)V1
スイッチSを a から離すということは、電池 E や抵抗 R と断絶して無関係になるということです。
そして、スイッチSを b の側に入れるということは、コンデンサー C1 に溜まっていた電荷がコンデンサー C2 に移動するということです(『コンデンサーの並列接続』参照)。
移動が終わると C1 の電圧と C2 の電圧が等しくなります(『コンデンサーの並列接続』参照)。この電圧を V' と置きます。
スイッチSを b 側に入れる前の電気量を Q0 としますと、
Q0 = C1V1 ……➊
であり、b 側に入れた後の、コンデンサー C1 の電気量を Q1 、コンデンサー C2 の電気量を Q2 としますと、
Q1 = C1V' Q2 = C2V' ……➋
です。そして、電気量保存の法則より、
Q0 = Q1 + Q2
であるはずだから、これに➊式と➋式を代入すると、
C1V1 = C1V' + C2V'
となり、
∴ C1V1 = (C1 + C2)V'
∴ V' = \(\large{\frac{C_1}{C_1+C_2}}\)V1
と V' が求められまして、これを再び➋式に入れ戻しますと、
Q1 = \(\large{\frac{{C_1}^2}{C_1+C_2}}\)V1 Q2 = \(\large{\frac{C_1C_2}{C_1+C_2}}\)V1
と求められます。答えは ⑤ です。
(問5)次に、スイッチSを b の側にしたまま、コンデンサー C2 の電極間を比誘電率が 1 より大きい誘電体で満たした。このとき、コンデンサー C2 に蓄えられる電気量はどのようになるか。最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
① コンデンサー C2 の電気容量が大きくなるので、蓄えられる電気量は増加する。
② コンデンサー C2 の電気容量が大きくなるので、蓄えられる電気量は減少する。
③ コンデンサー C2 の電気容量が小さくなるので、蓄えられる電気量は増加する。
④ コンデンサー C2 の電気容量が小さくなるので、蓄えられる電気量は減少する。
⑤ 電気量は保存されるので変化しない。
電極間を誘電体で満たすと電気容量は大きくなります。もし、電気量がそのままだとすると電圧は下がります(Q = CV の Q 一定のまま C が大きくなると V が小さくなる)。しかし、コンデンサー C1 とコンデンサー C2 は並列につながっているので電圧は等しく保たれようとします。電荷が移動するということです(上の問4で例示した、電荷が5個の内3個が移動するアニメーションにおいて、さらにもう1個移動して、電圧を等しく保とうとします)。つまり、コンデンサー C2 電気量は増加します。
というわけで答えは ① です。
(ちなみに、電気容量の別名が静電容量です。2つは同一のものです。)