乾電池により一定の加速度で走行できる機関車の模型がある。図1のように、 この機関車に質量 \(M\) の客車Aと質量 \(m\) の客車Bを軽くて伸びないひも1、2で水平につないだ。機関車と客車A、Bは、水平でまっすぐな線路上を、一定の加速度で右向きに走り出した。ひも1が客車Aを引く力の大きさを \(F\) とし、ひも2が客車Bを引く力の大きさを \(f\) とする。ただし、客車A、Bは線路上をなめらかに動き、車輪の質量および空気抵抗は無視できるものとする。
(問1)qO2T9
(問2)次の文章中の空欄11・12 に入れる式および語句として最も適当なものを、下のそれぞれの解答群から一つずつ選べ。
一定の加速度で距離 \(L\) だけ走らせたとき、客車Aの運動エネルギーの増加量は11である。客車A、Bの運動エネルギーの増加量は、機関車で使用されている乾電池の12の一部が変換されたものである。
11の解答群
① \(FL\) ② \((F - f)L\) ③ \((F + f)L\) ④ \(fL\) ⑤ \({\large\frac{(F - f)L}{2}}\) ⑥ \({\large\frac{(F + f)L}{2}}\)
12の解答群
① 光エネルギー ② 熱エネルギー ③ 化学エネルギー ④ 力学的エネルギー
#センター19本試物理基礎
(問2)
11
ひもの張力はどこもかしこも一定であるので、すべての力を書き出すと左図のようになります。\(f\) と \(F\) が同じというわけではありません(qO2T9参照)。
客車Aに掛かる力を書き出すと左図のようになります。
客車Aはこのような力 \(F - f\) を加えられながら \(L\) の距離だけ走ったわけです。仕事をされたわけです。エネルギーが増加したわけです。このエネルギーは位置エネルギーにも使われていませんし、摩擦熱も発生していません 問題文に「なめらか」とありますので摩擦もなく、摩擦熱も発生してません。 。スピードの増加のみに使われたのです。運動エネルギーの増加のみに使われたのです。(qG7FJ参照)
というわけで、仕事というのは(力)×(距離)なので、客車Aの運動エネルギーの増加量は \((F - f)L\) です。答えは ② です。
12
乾電池のエネルギーは化学エネルギーです。答えは ③ です。
(余談)
客車Bの運動エネルギーの増加量は \(fL\) です。
客車Aと客車Bを合わせた運動エネルギーの増加量は \((F - f)L + fL = FL\) です。