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図3のように、水平な床の上に2本のなめらかな金属レールが間隔 L で平行に設置され、レールに垂直に導体棒が置かれている。レールには電圧 V の直流電源、および抵抗値 R の抵抗が接続され、全体に磁束密度 B の一様な磁場が鉛直上向きにかけられている。また、導体棒は手から、レールに平行な大きさ F の力を受けている。ただし、レールと導体棒およびその間の電気抵抗は無視できるものとする。

図 3

(問3)導体棒が静止しているとき、F を式で表わせ。

(問4)力の大きさ F を変えて、導体棒を左向きに一定の速さ v で運動させた。このとき、導体棒に流れる電流 I を式で表わせ。

(問5)問4のとき、抵抗で消費される電力 P を表す式として正しいものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。

① 0  ② IV  ③ Fv  ④ IV + Fv  ⑤ IV - Fv

#センター16追試物理

(問3)
電流は磁場から力を受けますが、その方向はフレミングの左手の法則によって決まり 磁束(磁場)の向きは紙面こちら向きです。 、その大きさは F = (IBlsinθ) です。

導体棒は静止しているので、この力と手の力はつり合っているということであり、つまり手の力 F の大きさも (IBlsinθ) ということです。

本問においては

  (I) ⇒ \(\large{\frac{V}{R}}\)  (オームの法則より。導体棒が動いていれば \(\large{\frac{V}{R}}\) ではありませんが)

  (l) ⇒ L

  (sinθ) ⇒ sin90° = 1

であるので、

     F = (IBlsinθ) = \(\large{\frac{VBL}{R}}\)

 

 

(問4)
磁場を横切る導線(導体棒)には誘導起電力が発生します。その大きさは

    (V) = (vBl) = vBL

です。

その向きはレンツの法則に従います。

紙面こちら向きの磁束(磁場)が増えるので、それを打ち消すために紙面向こう向きの磁束を増やすように右回りの誘導起電力が発生します。

つまりこのような回路であるとみなせます。

左図のような経路について右回りを正とするキルヒホッフの第2法則の式を立てますと、

  V + vBL - RI = 0

∴ RI = V + vBL  ……❶

 ∴   I = \(\large{\frac{V+vBL}{R}}\)

 

 

(問5)
電力には3通りの表現方法 P = (IV = I2R = \(\large{\frac{V^2}{R}}\)) がありますが抵抗に掛かる電圧はよく分からないので P = (I2R) を採用することにして、❶式を代入しますと、

    P = I × RI = I × (V + vBL) = IV + IvBL  ……❷

となり、次に、解答の選択肢に F が多く含まれているので F について考えてみますと、

まず、磁場の中の電流は (F = IBlsinθ) の大きさの力を受けます。

本問においては

  (F) ⇒ (fと置く)

  (I) ⇒ I

  (l) ⇒ L

  (sinθ) ⇒ sin90° = 1

であるので、f = IBl です。

そして導体棒は一定の速さで動いているので

Ff はつり合っています。つまり、F = IBL です。

これを❷式に代入しますと、

     P = IV + IvBL = IV + Fv

となります。

答えはです。

 

 

(分析)
問5で得られた消費電力の式

    P = IV + Fv

の右辺第1項 IV は導体棒が動かない場合の抵抗で消費される電力を表しています。

第2項の Fv は手のした仕事率を表しています。

導体棒は1秒間に v [m] 進みますが、手の力の大きさは F であるので、手が1秒間にする仕事の大きさは Fv ということになります。1秒間にする仕事というのは仕事率のことであり、仕事率というのは電力に置き換えられます。手が発電しているということです。

つまり上式は、抵抗で消費される電力は直流電源が発揮する電力と手が発揮する仕事率を合わせたもの、という意味になります。

そして、両辺に時間 t を掛ければエネルギー保存の法則を表す式となります。

逆にいいますと、エネルギー保存則から抵抗の消費電力は直流電源による IV と手による Fv の和であるな、と暗算で導き出すことができます。

 

 

(良問)
本問は電磁気分野の基本事項が端的にまとまっている便利問題です。何度も読み返して暗記してしまいましょう。頭の中が整理できます。