電流
電流とは
電流というのは、電荷の流れのことです。
導体でできた導線に流れる電流は、電荷を持つ自由電子によるものです。電子は普通、原子の中にいるのですが、原子から飛び出して自由に動き回るものがあり、それを自由電子と呼びます。自由電子が静電気力を受けて一斉に同じ方向に動き出すとそれが電流となります。
電流の向き
電流の向きは自由電子の移動方向と逆、と定義されています。そして、負電荷を持つ自由電子が動くときというのは、正電荷が逆向きに動く、とみなせます。つまり、電流の向きは正電荷が動く向きです。
ですので、1個当たり -e C の電荷を持つ自由電子が左向きに1秒間に10個通過したとすると、電流は右向きに1秒間当たり 10e C 流れたことになります。
電流の大きさ
電流の大きさというのは、電荷の流量のことです。流量というものの大きさはどのように考えればいいかというと、それは、ある面を単位時間に通過する量、ということになります。電流の大きさは、ある面を1秒間に通過する電気量、と定義することができます。
具体的には、1秒間に 1C の電荷が流れるときの電流の大きさを 1 [A] アンペアとする、と決められています。すなわち、t [s] の間に q [C] の電荷が流れるときの電流の大きさ I [A] は、
電流の大きさ
I = \(\large{\frac{q}{t}}\)
です。単位は [A] = [C]/[s] = [C/s] です。*アンペアは19世紀のフランスの物理学者アンドレ・マリ・アンペールから。アンペールの法則を発見した人です。
量記号の I は intensity of electricity (電気の強さ)から。
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もうちょっと詳細な電流の大きさ
断面積 S [m2] の導線に流れる電流の大きさを考えてみます。
自由電子の平均の速さが v [m/s] 、自由電子の数密度(1m3当たりの個数)が n [個/m3] であるとします。
ある面を1秒間に通過する自由電子の個数というのは、ある面を1秒間に通過する領域(体積)に自由電子の数密度を掛ければ求められます。
1秒間に通過する体積というのは、長さ v × 断面積 S です。秒速0.3m で進んでいれば長さは 0.3m だし、秒速0.5m で進んでいれば長さは 0.5m です。
ですので、1秒間に通過する体積は vS [m3/s] です。
自由電子の個数はそれに数密度 n を掛けて、nvS [個/s] です。
自由電子は1個当たり -e [C] の電荷を持っていますので、ある面を1秒間に通過する電気量は、-e を掛けて、-envS [C/s] です。
これらが左向きに動いているとすれば、電流はその逆向きに envS [A] の大きさで流れていることになります。
すなわち、断面積 S [m2] 、自由電子の平均速度 v [m/s] 、自由電子の数密度 n [個/m3] のときの電流 I [A] は、
電流の大きさ
I = envS
と表せます。
*補足ページで電流の速さについて解説しましたのでお読みください。